懐かしくて新しい長崎名物「ちりんちりんアイス」 | STLOCAL|長崎を旅するアプリ

懐かしくて新しい長崎名物「ちりんちりんアイス」

藤本編集局 藤本明宏

更新日:2022.8.01
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いつも長崎の思い出とともにある、昔ながらのアイス

歩き疲れてちょっと休憩したい時、目に入る青い屋台。おばちゃんがヘラを使って器用にアイスを盛りつけると、きれいな一輪のバラが完成。しゃりしゃりとした食感、滑らかな口溶け、やさしい甘さ。前田冷菓のちりんちりんアイスは、長崎の景色や思い出と切っても切れない存在です。観光客からも、地元客からも愛される、長崎名物のアイスです。

これまで行商スタイルの屋台でのみ販売していましたが、2021年3月に事務所兼工場を改装して、新しく直売所をオープンしました。定番のアイスだけではなく、さまざまなアレンジ商品や、地元食材を使ったコラボアイスも用意。今回はその直売所を取材してきました。コロナ禍の影響を受けて、新しい形態での販売を開始した前田冷菓。4代目となる代表取締役の前田清香さんに、これまでの歴史や新しい取り組み、長年愛されるアイスに対する想いを伺いました。

爽やかな水色のカラーが目印。長崎ペンギン水族館近くの長崎市田中町に直売所を構えています。

 

長崎市内の観光地になくてはならない存在

屋台はオリジナルで製作したもの。創業当時から構造や見た目はほぼ変わっておらず、水と塩でアイスケースを冷やす保冷方法も同じです。

前田冷菓の創業は1960年。前田さんの祖父母が始めました。当時の長崎市内は、豆腐や野菜の販売、子ども向けの紙芝居などの行商が、鐘を鳴らしながら売り歩いていました。前田冷菓の屋台も鐘を鳴らして街を歩き、その音を聞いた子どもたちが集まってきていたそうです。その鐘の音から「ちりんちりんアイス」と命名されました。

屋台での販売は、眼鏡橋や平和公園、新地中華街といった観光地のほか、地元のイベントや行楽地にも出向いて販売しています。一年の中で忙しい時期は夏かと思いきや、春や秋が最も忙しいシーズンだそう。「夏は売る方も大変ですよ」と笑う前田さん。修学旅行の学生たちが列を成す光景は、まさに長崎の観光地の景色の一部となっていました。

代表取締役の前田清香さん。創業者である祖父母がアイスを作る姿を小さい頃から見て育ったそう。ちりんちりんアイスの作り方や材料は、創業当時からほとんど変えていないそう。棒アイスなどに代表される氷菓と、柔らかなソフトクリームの中間のような状態で、しゃりしゃり感と滑らかさの絶妙なバランスが懐かしくも新しいオンリーワンのアイスです。

そしてもう一つの特徴が、バラの花のようなアイスの盛り付け方。ヘラを使ってきれいに仕上げるのは技術が必要で、同じように見えてもベテランの作り手ほど細かな完成度が高いそうです。

 

コロナ禍で新しい販売方法を模索

これまで半世紀以上も屋台販売のみで経営を続けてきた前田冷菓ですが、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受けます。イベントが中止となり観光客も大幅に減少する中、屋台の売り上げは苦戦を強いられます。打開策を考える中で浮かんだのが、直売所をオープンするというアイデアでした。それに合わせてHPやオンラインショップ、店舗ロゴなどもリニューアル。昔から親しんでいる方はもちろん、新たな若い世代にもアイスの魅力をPRしました。

店内ではちりんちりんアイスのほか、Tシャツやマスク、アイス模型のキーホルダーなどといったオリジナルグッズも販売しています。

直売所は2021年3月にオープン。前田さんは「これまで自分たちから各地に出向いて販売していたので、直売所でお客さんを待つのはなんだか不安だったんです。でもおかげさまで、多くの方に来ていただいて大人気です。中心部の観光地から離れているにも関わらず、わざわざ足を運んでくださる観光客の方もいて嬉しい限りです」と話します。

 

直売所限定のオシャレな新メニューが登場

「ちりんちりんソーダ」。夏にぴったりの見た目も涼しいメニューです。

直売所では定番のプレーンタイプのちりんちりんアイスだけではなく、さまざまな限定メニューを用意しています。思わず写真を撮りたくなる「ちりんちりんソーダ」や、一味違った食感とおいしさを楽しめる「飲むアイス」など、わざわざ直売所を訪れて味わいたくなるものばかり。写真を撮りやすいよう台や小道具も用意されているので、SNSに素敵な写真をアップできます。

「飲むアイス」はプレーン、コーヒー、抹茶の3種類。

前田冷菓では、地元食材とコラボしたアイスのフレーバーも積極的に開発しています。びわやゆうこう、そのぎ茶、高島トマト、そして地元の諫早高校からのリクエストに応えてむらさき芋のアイスも実現しました。一部は数量限定なので、見つけたらぜひ選んでみましょう。ちなみに地元客は「プレーン一直線の人が多いですよ」とのこと。それだけ前田冷菓のアイスが多くのファンに浸透している証拠です。

オンライン商品「ちりんちりんアイス ファミリーセット」は県外に住む長崎出身者にも人気

屋台や直売所での販売だけではなく、コロナ禍をきっかけにオンライン販売にも力を入れています。お家でちりんちりんアイスが楽しめるファミリーセットには、アイスとコーンの他、小さなヘラも付いてきます。解説動画を参考に見ながら、バラの花の形に挑戦してみましょう。

 

これからも変わらないおいしさを届ける

コロナ禍以前は屋台販売だけで忙しく、なかなか新商品やオンラインショップに取り組む余裕がなかったと振り返る前田さん。「これも一つのきっかけというか。自粛ムードの中でいろんな販売方法にチャレンジする時間ができましたし、何より多くのお客さまがちりんちりんアイスを求める声を改めて聞く機会となり、本当に有り難いと感じています。まだまだ以前のように観光地は賑わっていませんが、私たちの存在意義はやっぱり屋台にあると思っています。直売所やオンラインショップだけではなく、屋台での対面販売を続けていきながら、昔ながらのおいしさを伝えていきたいですね」。素朴で変わらないおいしさのちりんちりんアイス。これからも、長崎の思い出に寄り添います。

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藤本編集局 藤本明宏

長崎県在住のライター・インタビュアーです。人とまっすぐ向き合い、心のこもった文章を書いていきたいと思います。
また普段から、インタビューで長く、ゆっくりと話を深めることに意識を向けています。

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