今回は、長崎の「和華蘭文化」とローカル感が楽しめる、お散歩コースをご紹介します。
長崎は、今から450年前、ポルトガル人と貿易するための港町として作られました。それ以降、日本における海外への玄関口として、長崎には海外から多くの人々が集います。そんな、国際色豊かな長崎の文化は、和風の「和」、中華の「華」、オランダ、広くは西洋の「蘭」をとって、和華蘭文化と呼ばれています。
今回のお散歩コースは、観光地(長崎新地中華街)からすぐ行けて、そして小一時間程度と気軽に、長崎の和華蘭文化やローカルな雰囲気を満喫できます。
中華街からすぐ!湊公園からスタート

湊公園からスタート
長崎新地中華街南門を出てすぐの、湊公園から出発です。早速、和華蘭文化の「華」を思いっきり感じるスタート地点です。公園内では、ちびっ子らが走り回っていたり、一角では地元のおじさんらが将棋に興じていたり、観光地付近なのにローカル感も醸し出されています。

湊公園裏のローソンの横の道を入ります
湊公園を裏側(南側)に進み、出たところすぐのローソンの横道に進みます。超余談ですが、長崎は交通量が多い通りでも、信号が無いのをよく見かけます(それでもよく車が止まってくれます。ありがたや…)。左右確認し、横断歩道を進みましょう。

ここから趣のある階段が続きます

以前ここにはシナゴーグがあったそう。国際色豊か!

説明板の古写真時代の趣も、少し残っているような
しばらく進むと「十人町」という町の入り口にあたる階段に差し掛かります。ここからしばらく、階段の道を進みます。長崎は「坂のまち」と呼ばれ、坂(階段)が多いことで知られます。どこまでも階段が続き、斜面に家々が立ち並ぶのは、とても長崎らしい風景です。

階段の途中にいきなり神社
しばらく階段を登ると、いきなり神社が現れました。ついさっきまで中華街(華)にいたのに、長崎らしい階段を登っていたら、神社(和)に到着です。この天満宮は、17世紀の半ばに建立されたそうで、学問の神様・菅原道真をお祀りしています。ちなみに天満宮に至るこの階段道は「学問の道」とも呼ばれているのだとか。近所の学校の生徒さんもよく通るようで、縁起の良い通学路ですね。

坂のまち長崎の秘密兵器
天満宮をほんの少し上がったところに、気になる機械を発見。これは「斜面地移動支援機器SARUKU(さるく)」という機械で、手すりに掴まったり荷物を引っ掛けたりして階段を登るものだそう。長崎ならではな機械です。ちなみに「さるく」とは、長崎の言葉で「ぶらぶら歩く」という意味。

休憩用のベンチに感じる優しさ
長崎の坂道では、道中ところどころに休憩用のベンチが設置されています。これも長崎ならではな風景だな〜と思います。このコースは序盤かなり階段が続くので、ベンチで少し休憩を挟みながら、登っていきましょう。

絵になる風景が次々と

十人町の名前の由来

十人町から中華街方面を望む
しばらく階段を登り、後ろの中華街方面を振り返ると、長崎の空・山・家々が見えてなかなか趣があります。今回歩いてきた「十人町」は、鎖国時代、海外船が出入りする長崎の港を警備する遠見番十人が住む官舎があり、それが名前の由来なのだそう。こんなところからも、長崎と海外との繋がりの深さを感じます。
東山手エリアへ

東山手エリアに突入
十人町を抜けると、東山手町に入ります。ここは、旧外国人居留地と言って、幕末〜明治以降に日本に訪れた外国人(主に欧米人)の方々が多く暮らした場所です。特にこの東山手は、宣教師の方が多く暮らしたことから「宣教師の丘」とも呼ばれていたのだとか。今でもこのエリアにはキリスト教ルーツの学校がたくさん立ち並びます。石畳や煉瓦塀が続く、異国情緒あふれる街並みが魅力の東山手は、散歩にぴったり。和歌蘭の「蘭」が感じられるエリアです。

煉瓦塀と石畳の道

東山手十二番館

東山手甲十三番館
「東山手十二番館」は、1868年頃に建てられた東山手で最古の木造洋館です。ロシア領事館やアメリカ領事館、宣教師住宅等を経て、現在館内は資料館になっており、居留地時代に建設された私学に関する資料を見ることができます。「東山手甲十三番館」は、元々は外国人用の住宅として建てられた洋館で、現在館内はカフェになっています。
東山手十二番館
ここに行く!住所 | 長崎県長崎市東山手町3−36 |
電話番号 | 095-827-2422 |
営業時間 | 09:00~17:00 |
定休日 | 12月29日~1月3日 |
東山手甲十三番館
ここに行く!住所 | 長崎県長崎市東山手町3-1 |
電話番号 | 095-829-1013 |
営業時間 | 09:00~17:00 |
定休日 | 月曜日 |

オランダ坂
石畳の道をしばらく下ると「オランダ坂」の石碑があります。鎖国期に関係が深かった出島のオランダ人の影響か、開国後も長崎の人々は東洋人以外の外国人を「オランダさん」と呼んでいたのだとか。そのため「オランダさん」が通る外国人居留地の坂を「オランダ坂」と呼ぶようになったのだそう。

オランダ通り
オランダ坂をしばらく下ると、「オランダ通り」という通りに出ます。本日の散策は、こちらで終了です。スムーズに回れば、小一時間程度で、資料館などをじっくり見たら2時間程度あれば、巡れるコースかと思います。
ここから南に進めば、長崎の一大観光エリア「大浦天主堂」や「グラバー園」がある南山手まで歩いてすぐ。北に進めば、初めにいた中華街エリアに数分で戻れます。近くに路面電車の電停もあるので、違うエリアに遊びに行っても良しです。散策の後も、引き続き長崎観光を、お楽しみください!
ちなみに、今回のコースの詳細は、下記Youtube動画にもまとめてあるので、こちらも合わせてぜひご覧ください。
【街歩き】十人町から東山手へ / 観光にもオススメな坂道と和華蘭文化を巡るお手軽コース 【長崎観光】
それでは皆様、良い旅を!
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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Youtuber/Podcaster
品川 正之介
(しながわ しょうのすけ)
神奈川県横浜市出身。1991年生まれの30歳。首都圏で5年ほど働いたのち長崎に移住。
現在は長崎の魅力(歴史・文化・景観・自然・食)を深堀りしつつ、各種SNSで発信中。好きな動物は猫。大好物は皿うどん。最近の口癖は「長崎は銀河系で一番面白い」。※2021年現在