「坂が多いまち」として知られる長崎。名も無き坂から名の付いた坂まで、まちの至る所に坂(坂道や階段)が存在しています。移住者である筆者は、そんな長崎の「坂のある風景」の風情や趣に、すっかり魅了されてしまいました。今回は、長崎の中でも有名な坂を、いくつか皆様にご紹介します!

長崎の坂ギャラリー
アーケードの一角に存在する「長崎の坂ギャラリー」。なかなかユニークかつインパクトのある展示です。長崎に数ある坂の中でも、市民に親しまれ愛称がついている坂の写真がズラリと掲示されています。今回は、このギャラリーの情報を参考に、市中心部にある7つの坂を巡っていきます。
① 長坂

諏訪神社の社殿へ続く「長坂」
まず訪れたのは、諏訪神社の「長坂」。お参りの際には、老若男女、皆さんこの階段(全73段)をせっせと登っていきます(なお、長坂の下にも階段が続くので、73段以上階段を登ることになるのですが…)。踊り場無しで続く階段は、なかなか堪えます。頑張って登っていきましょう。ちなみにこの長坂、長崎のお祭り「おくんち」の際には、奉納踊りを真正面から見られる特等席。そんなこともあり、市民の皆さんにとても親しまれている坂なのではないでしょうか。

振り返ると絶景が
この長坂は、登り切ったところからの景色が最高です。門がまるでフレームのように、長崎の空・山・街並みを切り取ります。お気に入りの風景です。なお、諏訪神社自体も見所がたくさんあるので、訪れた際は、ゆっくり散策するのがオススメです。
② きゃあまぐる坂(変電所の坂)

傾斜がエグい
次にやってきたのは「きゃあまぐる坂」。「きゃあまぐる」とは、長崎の言葉で「とても疲れる」・「とてもきつい」といった意味だそう。確かに、坂の勾配が凄まじく、これまでに感じたことのないような重力を両脚に感じます。

どこまでも続く坂道
勾配が凄まじいことに加えて、登っても登っても、坂道に終わりが見えません。なッ…長い…っ!現在長崎の斜面地に住み、毎日坂道・階段の昇り降りをしている筆者。自分の足腰には自信がありました。しかし、そんな自信を吹き飛ばすほどの勾配と坂道の長さです。

思えば遠くへ来たもんだ…
完全に息が上がり、自分の足腰への過信が粉々になったあたりで、坂の頂上に到着しました。これは確かに「きゃあまぐる」坂でした。すっかりヘトヘトです。でも、振り返って見える街の景色と標高の高さに、ちょっとした達成感を得られます。長崎随一の激坂を登り切った誇らしさを胸に、坂を降ります。
③ 幣振坂(へいふりざか)

風情溢れる道
次にやってきたのは「幣振坂」。寺町という趣あるエリアにある坂で、街歩きや散策にもオススメ。「幣振坂」という名前の由来は、かつて、山の上から切り出した石材を運ぶ際に、御幣(紙を切り細長い木に挟んで垂らした神祭用具)を振って人夫を鼓舞した逸話から来ているのだとか。

晧臺寺さんを横目に坂を登ります

運が良いと、近くの寺の鐘の音が響くのが聞こえます
比較的緩やかな坂のため、寺町の雰囲気を楽しみながら、のんびり登ることができます。時折、学校のチャイムの音がまちから聞こえてきたり、近くの寺の鐘の音が響いたりすることもあります。寺町はとても風情・趣深いエリアなので、幣振坂含め、周辺を散策するのが非常にオススメです。
④ オランダ坂

異国情緒あふれる石畳の道
次にやってきたのは「オランダ坂」。これまでとは打って変わって、洋風で異国情緒溢れる坂道です。このあたりは、旧外国人居留地エリアといって、幕末以降に長崎へやって来た海外の方が多く暮らしたエリアです。

東山手十二番館
オランダ坂の途中には、現在はカフェになっている「東山手甲十三番館」や、資料館になっている「東山手十二番館」があり、洋館の中に入ることも可能です。激坂を登って楽しむ、というよりも、異国情緒を楽しみながら、街歩きや散策するのにオススメの坂道です。

石畳に加えレンガの街並みも素敵
オランダ坂を登り切っても、まだまだ石畳の道は続きます。オランダ坂のある東山手エリアの隣には、中華街エリアや、世界遺産(大浦天主堂・旧グラバー住宅)のある南山手エリアがあります。旅行のスケジュールに上手く組み込んで、オランダ坂周辺の街歩きをぜひ楽しんでみてください。
⑤ 祈念坂

祈念坂
次にやってきたのは「祈念坂」。筆者一推しの坂です。なんと言っても風情・趣が抜群。「沈黙」や「海と毒薬」などの小説で知られる遠藤周作も愛した場所と言われています。長崎の有名な観光スポットの大浦天主堂の真横・グラバー園のすぐそばにあるので、近くに来た際は、ぜひとも散策して欲しい場所です。

国宝・世界遺産の大浦天主堂を横目に登ります

遠く長崎の港が見えます
結構な段数のため、ちょっと大変かもしれませんが、石畳の雰囲気を味わいつつ、ゆっくり登っていきましょう。登り切ったところからの景色も最高です。ちなみに、夜は坂道がライトアップされるので、日が暮れた後の散策もオススメです。
⑥ ドンドン坂
次にやってきたのは「ドンドン坂」。坂の石畳脇には三角溝と呼ばれる溝があり、雨が降った際、雨水がドンドンと音を立てて流れることが、名前の由来になったそうです。緩やかなスロープを、異国情緒を楽しみながら登っていきましょう。

対岸には造船所のクレーンが立ち並ぶ
ちなみにドンドン坂周辺のエリアは、地域猫が多い場所でもあるので、人懐っこい猫と出会うこともしばしば。観光地から少し離れたエリアなので、ゆっくり街歩き・散策を楽しみたい方にオススメです。
⑦ 万年坂

標高が高いエリアにある「万年坂」
最後にやってきたのは「万年坂」。少し市街地から離れたところにある坂で、今回はバスに乗って来ました(長崎バス「大浦天主堂下」乗車 → 「南町」下車)。バスを降りて気づいたのですが、だいぶ標高が高いところにある坂道です。

思えば遠くにきたもんだ…(本日2回目)
坂を登りきって振り返ると、長崎の街や港が、はるか遠く眼下に見えます。そして目の前に広がるのは、山の斜面。今日巡った坂以外にも、他にもまだまだたくさん、個性豊かな坂があるんだろうな…と感慨に耽ったところで、今回の坂巡りの旅が終了しました。
ということで、長崎の坂道特集、いかがだったでしょうか。ぜひ機会があれば、皆さんも長崎の坂道巡りにチャレンジしてみてくださいね!では、良い長崎の旅を!
こちらの記事記載の坂をめぐるには長崎バス市内観光1日乗車券の利用が非常に便利です!
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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Youtuber/Podcaster
品川 正之介
(しながわ しょうのすけ)
神奈川県横浜市出身。1991年生まれの30歳。首都圏で5年ほど働いたのち長崎に移住。
現在は長崎の魅力(歴史・文化・景観・自然・食)を深堀りしつつ、各種SNSで発信中。好きな動物は猫。大好物は皿うどん。最近の口癖は「長崎は銀河系で一番面白い」。※2021年現在