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【まちあるき】松浦鉄道「松浦駅」周辺を巡る

公開日:2023/7/11最終更新日:2023/7/11
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松浦鉄道沿線

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佐世保駅から日本最西端の駅・たびら平戸口を繋ぎ、佐賀県の有田・伊万里へと向かう松浦鉄道。県北地域に密着したローカル路線で、沿線にはのどかな風景が広がります。気ままに列車旅を楽しみながら、せっかくなら駅周辺をまちあるきしてみましょう。今回は松浦市志佐町浦免にある、松浦鉄道「松浦駅」周辺を散策。近年“アジフライの聖地”としても有名な松浦市は、趣向を凝らしたメニューでもてなしてくれる地元のローカル店が数多くあります。新鮮なアジフライと刺身を堪能し、昔ながらの和菓子屋さんで手土産をゲット。どこか懐かしい雰囲気の通りをふらりと歩きながら、地元の食を味わうまちあるきです。

いざ“アジフライの聖地”へ

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松浦駅は松浦市の中心駅で、多くの観光客や地元客が利用しています。駅構内にはまつうら観光物産協会があり、地元のお土産品も販売しています。
駅から海沿いに歩いた場所には、松浦党発祥の地碑があります。松浦党は、源平天下分け目となった壇ノ浦の合戦で平家水軍として活躍した武士集団。鎌倉時代の蒙古襲来時の勇戦でも知られています。長崎県の北部一帯を中心に唐津や伊万里、五島列島まで勢力を広げた松浦党。記念碑の前には雄大な海が広がり、多くの船が行き交います。
松浦市といえば、近年“アジフライの聖地”として全国的に知られるようになりました。実はもともと、アジの水揚げ量日本一を誇る松浦市。これまで最高に新鮮な刺身を中心に提供し続けてきましたが、アジフライとしても大々的にPRしようと、市は2019年に「松浦アジフライ憲章」を制定。市内飲食店で食べられるアジフライマップを作成し、現在は約30店舗が個性豊かなアジフライを提供しています。 アジフライといっても、非常に奥が深い世界です。獲れたてor寝かせる、タルタルorウスター、ブランド魚orノーブランドetc、とにかくバリエーションが多種多様。そのお店ごとの工夫が楽しめるので、食べ比べもオススメです! 駅横のマップにもアジフライの案内が。構内には冊子のアジフライマップが置かれているので、観光のお供にぜひ。シュールなイラストが印象的です。

鮮度抜群のアジを、フライ・刺身で堪能する

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それでは実際に、アジフライを食べにいきましょう!松浦駅から徒歩数分の場所にある「食味酒処 あじ彩」は、創業から約30年の地元で愛される老舗。獲れたて新鮮な魚を中心に、多彩な料理でもてなしてくれます。 松浦市のブランド魚である「旬あじ(ときあじ)」をいち早く扱い始めたお店でもあります。旬あじとは、4月から8月に五島・対馬海域でとれる100g以上のマアジのこと。脂がのった旬の時期の刺身は絶品です!「地元じゃ自分で釣って食べるのが当たり前の魚やった」と店主の橋本成一さん。さすが港町。 この日は朝から新鮮なマグロが手に入ったそうで、ランチメニューに鉄火丼が追加。さらに特別活きのいいアジが入ったとのことで、アジフライと刺身を両方いただくことにしました。なんて贅沢! 手際良く魚を捌いていく橋本さん。いけす割烹や料亭で経験を重ねて、自らのお店をオープンしました。周辺には企業の工場などがあり、接待での利用も多いそう。地元の人が勧めたくなるお店となれば、それだけ信頼されている証拠だと感じました。 注文したのは「ちょい刺身とあじフライ1匹定食」。大きなアジフライがドカンと盛られた大満足のランチメニューです。「あじ彩」のアジフライは、とにかく魚の鮮度が抜群。刺身にしても十分おいしいアジを、きれいな油でカラッと揚げます。また衣には隠し味としてチーズを加えることで、より旨味がグッと引き立って濃厚になります。一口食べると、ふわりとアジのおいしさが広がります。アジフライの聖地、まさに納得の味わいです。 ちょい刺身も付いたメニュー(ちょいどころかたっぷり!)。今日は新鮮なアジでしたが、これがまた抜群にうまい。歯応えと濃厚な旨みが絶妙で、ご飯が進みました。とにかく満足度の高い、アジ尽くしのお昼ご飯。ごちそうさまでした。 ちなみに数年前から、魚料理だけではなく焼肉の提供も始めたとのこと。長崎和牛や国産和牛を扱うなど、こちらも仕入れに抜かりがなくこだわっています。橋本さん曰く「この辺りで焼肉を食べられるお店がなくなって。近くに飲み屋もあるし、うちがやることで少しでも地域の賑わいに繋がれば」とのこと。地元を愛し、地元から愛される名店です。

素材にこだわり、工夫を凝らした松浦らしい和菓子

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次に訪れたのは、先ほどの「あじ彩」から歩いてすぐの場所にある「御菓子司 岩元製菓舗」。昭和18年の創業以来、地元に根付いた和菓子店として親しまれてきました。 大切にし続けているのは、安心安全の原材料。保存料を使用せず、生産者が明確な国産にこだわっています。3代目の岩元啓晃さんは、京都で修行した後に実家を継ぎました。「修行時代は特に餡子作りに長く携わりました。自慢の粒あんは仕込みに二日、その後の直火炊きに半日かかりますが、日々手を抜かずおいしさを守り続けています」。 看板商品の一つが「長崎カステラ」。卵の黄身の分量を増やすことで、濃厚な味わいと色合いを実現しました。贈答品や手土産として人気です。

そして地元の松浦にちなんだ和菓子を手掛けているのもお店の特徴。アジフライの印が描かれた最中は、こだわりの粒あんがたっぷりと入っています。一口食べると、大粒の小豆の食感と味わいがたまりません!食べやすいサイズ感で、食後のおやつにぴったりです。同じくアジフライの印が描かれたどら焼きもオススメ。 さらにSNSでも話題となり注目を集めたのが「てつはう最中」です。松浦市鷹島沖は、元寇(蒙古襲来)の終焉の海。この海で発見されたのが、元軍が使用した「てつはう」です。教科書で見た絵を思い浮かべる方も多いと思います。その「てつはう」をモチーフにした最中で、一口食べるとパチパチ感が炸裂!餡子の甘さとともに印象的な逸品です。 先代の頃は和洋菓子店として、ショーケースにはケーキも並んでいたそう。現在も馴染みの客の依頼に合わせて、クリスマスケーキを作ることもあるとか。店頭にも「苺のホールケーキ」の告知がありました。 コロナ禍の影響で贈答用の注文は以前より減ったそうですが、新商品を開発したり、地域のイベントに参加して和菓子を販売したりするなど、フットワーク軽くさまざまな試みに取り組む岩元さん。今後も伝統の味を、いろんな形で伝え続けます。 今回は2つのお店を紹介しましたが、松浦市内にはまだまだアジフライや和菓子のお店がたくさんあり、それぞれ工夫したメニューを用意しています。そして素朴で人情味あふれる地元の方の人柄も魅力的。アジフライの聖地を巡る電車旅、ぜひお腹を空かせて楽しんでください。

この記事で紹介したスポット

掲載情報は取材当時のものです。公式サイトでの事前確認をおすすめします。

この記事を書いた人

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藤本編集局 藤本明宏

ライター

長崎県在住のライター・インタビュアーです。人とまっすぐ向き合い、心のこもった文章を書いていきたいと思います。また普段から、インタビューで長く、ゆっくりと話を深めることに意識を向けています。

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