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「長崎居留地ものがたりツアー」〜蝶々夫人と孔子を訪ねて〜【第2話】

2022/8/29 公開

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東山手・南山手

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異国情緒あふれる長崎市の居留地エリアを巡り、その歴史を感じる旅「長崎居留地ものがたりツアー」の体験レポート第二弾。二日目のタイトルは、第2話「孔子の詞」。西洋と東洋の文化が入り混じる長崎独特の和華蘭文化、その中でも特に中国・孔子にまつわる歴史を体感できる内容です。そもそも孔子はどんな人物なのか、論語とはどういったものなのか。基礎的な内容をおさらいしながら、長崎孔子廟を見学。ツアーのフィナーレを飾るのは、中国古来から伝わる変面ショーです。中国文化の豊かさと、長崎と中国の深い繋がりを感じられるツアーへ出発!

長崎ならではの和華蘭文化を味わう

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二日目のスタートは贅沢なランチから。ホテルニュータンダのシェフ渾身のメニュー「長崎和華蘭ランチ」は、バリエーション豊富な料理が並びます。そもそも“和華蘭”とは、日本の「和」と中国の「華」、オランダの「蘭」、三ヶ国が交わる中で育まれた長崎文化を象徴する言葉です。
お刺身や小鉢など、一見構成は普通の御膳のようですが、例えば「甘鯛の変わり揚げと海老のタピオカ揚げ油淋ソース」や「マグレカナールのロースト ばってん鶏の香草パン粉焼きマスタード風味」など、食材の使い方や味付けに一工夫のある料理ばかり。食べていて発見があり、とても楽しいランチでした。国籍にとらわれない食の豊かさも長崎の特徴です。

孔子の生涯や論語について楽しく学ぶ

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お腹を満たした後は、長崎孔子廟の小林菜々副館長による講話がホテル内で行われました。そもそも孔子とはどんな人物なのか、孔子が生きた時代の歴史などをスライドとともに解説。中国衣装で登場した小林さんのお話はとても分かりやすく、自然と引き込まれました。
有名な論語を引用しながら、孔子の考えについて紹介。「『政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰の其の所に居て衆星のこれに共うがごとし』という教えが論語にありますが、これは『徳をもって政治を行うことで、北極星が動かずともいろんな星が周囲を巡るように、人民の心を導くことができる』という意味に解釈できます。北極星に例えるのって、なんだかロマンチックですよね」と小林さん。難しいイメージの論語も、柔らかい紹介で身近に感じられます。
そして講話の最中に、なんとあの孔子が登場!?その正体は、長崎孔子廟の藩館長。ものすごく知識が豊富な方で、自ら孔子に扮して会場を盛り上げます。副館長との掛け合いも見事で、終始和やかな雰囲気に。
「儒教は宗教というよりも倫理学。そこには常に、愛があるんです。孔子は論語の中で“仁”という言葉を大切にしていますが、その意味を明確にしていません。読み手ごとの解釈があるんですよね」と小林副館長。まさに孔子、そして論語の奥深い魅力の一端を知ることができる内容でした。

知ると見え方が変わる、長崎孔子廟

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講話の後は、いよいよ長崎孔子廟へと向かいます。ホテルニュータンダからは徒歩で5分程度。先頭で案内する藩館長は孔子の衣装のままなので、なんだか不思議な光景に…。
長崎孔子廟は、1893年に清国政府と在日華僑が協力して建立。建物の随所に壮麗な伝統美を凝らした、日本で唯一の本格的中国様式の霊廟です。
藩館長の案内のもと、敷地内を歩いていきます。「長崎孔子廟が建っているこの土地は、実は中国政府が所有権を持っています。もちろんパスポートは必要ありませんが、皆さんはまさに中国の土地に立っていると思ってくださいね」。
門をくぐるとまず目に入るのは、正面に建つ大きな大成殿。軒下の幕には「有教無類」と書かれており「身分を問わず、学ぶものは誰でも入門できる。教育によって、どういう人にでもなり得る」ということを表しています。これも論語の中にある言葉です。
そして大成殿の手前に並ぶのは、孔子の弟子である72賢人の像。全員の石像が一箇所に集まっているのは、全国の孔子廟の中でこの場所だけとのこと。眺めていると、どこかで見たことあるような顔も…なんだか親近感が湧いてきます。
大成殿の中には、大きな孔子座像が置かれています。孔子はなんと2メートル以上の身長があったという言い伝えがありますが、このくらい迫力のある方だったのかもしれませんね。
さらに奥に進むと、3階建の中国歴代博物館があります。ここでは中国の国宝クラスの文物や、長崎孔子廟に関わる史料文物の展示を行っています。
藩館長の丁寧な解説を聞きながら見ていきます。「日本だと7や8という数字がラッキーナンバーのように選ばれたりしますが、中国の皇帝は9という数字にこだわります。なぜなら、一の位で最も大きな数字だからです」。細かな柄や漢字、数、色に込められた意味を理解すると、展示内容への興味が一段と増します。

その技術は国家機密!変面ショーをご覧あれ

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博物館を一通り見て回った後は、いよいよお待ちかねの変面ショーの始まりです!変面とは、四川の川劇に属し、お面が瞬時に10数枚変わる伝統芸能。その仕掛けは国家機密とされています。長崎孔子廟には若手変面師が2名所属しており、今回は同時に出演する特別なショーです。
まず登場したのは、青い衣装の京介さん。凛とした立ち姿としなやかな踊りに目を奪われます。いつ面が変わるのかと観客も身構えていると…。
目にも止まらぬ速さで変面!あまりに自然な動きで、一瞬の出来事でした。ずっと面や動きに注目していましたが、全くタネも仕掛けも分かりません。
そして2人目の変面師である、赤い衣装の妃那さんも登場。なんと年齢は若干11歳とのことですが、堂々とした踊りは見事。こちらも素早い変面を披露してくれます。
面ごとにデザインが変わるだけではなく、そのモチーフに合わせて踊りや仕草を変える2人。虎の面は堂々と勇しい動き、パンダの面はかわいく愛嬌のある動き。面が変わる瞬間だけではなく、前後の踊りも含めてワクワクさせられます。
観客を盛り上げながら、2人同時の変面ショーならではの息の合ったプログラムを展開。見所の多い内容で、会場の一体感がどんどん増していきました。最後は面をとって挨拶する京介さんと妃那さん。長崎孔子廟にあたたかな拍手が響きます。 これで二日間に渡る「居留地ものがたりツアー」は終了です。参加者は皆さん満足そうな表情で、暑い中でも存分に歩き、学び、楽しんでいた様子。単なる観光地巡りではなく、居留地エリアならではの物語を知った上で触れることで、より深く、より身近に楽しむことができる内容が印象的でした。 今後は違ったテーマでのツアーが3話、4話と続いていく予定とのことですので、期待して待ちましょう。 ※情報は取材当時のものです。

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この記事を書いた人

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藤本編集局 藤本明宏

ライター

長崎県在住のライター・インタビュアーです。人とまっすぐ向き合い、心のこもった文章を書いていきたいと思います。また普段から、インタビューで長く、ゆっくりと話を深めることに意識を向けています。

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写真提供:長崎県観光連盟写真・記事提供:公益財団法人佐世保観光コンベンション協会
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