【佐世保2時間ドライブコース】お茶のまち・世知原のお茶とグルメを愉しむ
2023/12/19 公開
江迎・佐々
佐世保駅から車で約30分、長崎県北部の高原にある「世知原町」はお茶の産地。大自然のなか育まれる「世知原茶」は佐世保市の特産品です。ちょっぴり足を延ばして、2時間ほどのドライブを愉しんでみませんか。お茶の魅力にふれながら、ご当地グルメも愉しめるおすすめコースをご提案します。
香り・味・色の三拍子がそろう世知原茶
香り、味、色ともに日本一の称号を得たこともある世知原茶。産地の世知原町は県北最高峰の国見山を有し、県内最長の佐々川が町の中心部を流れています。
茶畑は標高250m~450mの山間地に広がっています。朝晩の寒暖差が大きく、冷涼で霧深い環境のもと、高品質なお茶が育まれているのです。
製造方法は「蒸し製玉緑茶」。渋みが少なくまろやかで、香り高い濃厚なうま味が特長です。全国の緑茶生産量の4%程度しか生産されていない、とても希少なお茶です。
茶葉の栽培や加工など、世知原町内の生産者によってこだわりもさまざま。お店の個性が光る一杯を、ぜひ飲み比べしてみてください!
世知原町には、佐世保駅から車で30分ほどで到着♪
上野原でお出迎えしてくれる「ジャンボ急須」のモニュメントは撮影スポットとしても人気です。
おいしい世知原茶の淹れ方を体験
今回は、数ある店舗のなかから創業70年超の「前田製茶」へ足を運びました。二代目の前田秀樹さんと専務取締役の晃宏さんを中心に、お茶の栽培から茶葉の製造、販売までを一貫して行っています。
店内には新茶をはじめ、粉茶や玄米茶といったお茶各種、急須などの焼きもの、お茶請けにぴったりなお菓子が。普段使いから贈り物まで、地元の方にも長く親しまれているお店です。
「もっと世知原茶を身近に感じて知ってほしい」。
高校生など若者向けに、世知原茶の淹れ方のレクチャーをすることもあるという晃宏さん。
そんな晃宏さんに、世知原茶のおいしい淹れ方を教わりました!
①お湯を湯のみの8割程度まで入れる
②湯冷ましにお湯を注ぐ
③ティースプーンに軽く一杯を目安に急須に入れる(2人分で3~5gがおすすめ)
④冷ましたお湯を急須に注ぐ
⑤蓋を閉め、1分~1分30秒置いておく
⑥少しずつ、量や濃さが同じになるよう注ぐ(最後の一滴までしっかり!)
かなりシンプルに書きましたが、お湯の温度や注ぎ方などポイントが盛りだくさん。
ぜひ実際に体験してみてください。ペットボトルのお茶とこんなに違うのね!と驚いてしまうはず。
爽やかなお茶の香りがたまりません。一口含むと、さらに芳醇な香りに満たされ、滋味深い味わいに思わずホッと一息。
慌ただしい日常を忘れ、ゆったりとお茶を淹れる時間はまさにリラックスタイム。自分用の急須がほしくなりました。
前田製茶では、もっと気軽に世知原茶を愉しめるよう、粉末やティーパックでの緑茶や和紅茶もリリース。
また、キリンビールと「世知原ピルスナー」を共同開発し、市内飲食店での提供を実現しました。
ここでは粉末を購入できます。ビールはもちろん、色んなドリンクと世知原茶のコラボを試してみてください♪
大自然と向きあい、土づくりから丁寧に。一年間の集大成となる茶葉は、作り手の努力と真心にあふれています。
そんな世知原茶の味を、ぜひ心ゆくまで味わってみてくださいね。
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全国的話題にもなった名物「真弓精肉店の揚げサンド」
全国的な話題にもなった世知原町名物があるのをご存知でしょうか。そう、それは「真弓精肉店の揚げサンド」!
見てください、この写真でも伝わるザクザク感。
具材に甘いマヨネーズのポテトサラダとハムを挟んでカラッと豪快に揚げているのですが、脂っこくなくペロッと食べられる逸品なんです。
具材の甘さとハードな食感が見事にマッチし、次の一口が止まりません!
手作りの揚げサンドを販売しているのは、70年にわたり地域に根差す「真弓精肉店」。精肉はここでの販売だけでなく、地元の学校給食にも卸しています。
お店の歴史のなかで40年以上のロングセラーとなる「揚げサンド」の立役者は“真弓肉屋のおじちゃん”こと、社長の真弓忠治さん。
かつて修業していた精肉店で伝授したレシピに改良を重ね、現在の形になったとのこと。
息子の貴治さん(画像右)とともに、食を通じて地域を盛り上げています!
「父の味に追いつくまで頑張りました」と貴治さん。生まれ故郷の世知原町でのびのびと育ちながら、父・忠治さんの働く背中を見てきました。
暑い日も寒い日も、多い日で一日100個も売り上げるという揚げサンドは、親子二人三脚でお客さんのもとに届けられています。
やっぱり一番は揚げたて。外はカラッと、中はポテトサラダが冷たく美味しい状態に仕上がっています。これぞ職人技!
揚げサンドだけでなくミンチカツ(1枚97円)も、ほんのり甘いジューシーさが人気。鶏ガラ唐揚(100g150円)はビールのお供に最適で、まとめ買いをするお客さんもいるのだとか。
どれも早くに売り切れる可能性もあるので、ご来店前は電話連絡がおすすめです。
ちなみに、揚げサンドのパッケージのラベルは忠治さんの同級生の方が、飛び出し坊や(真弓肉屋のおじちゃんver.)は知人のデザイナーさんがそれぞれ手掛けたとのこと。忠治さんの特徴をばっちり掴んでいますね。
地元民から旅人まで、優しい味で笑顔にしてくれる「真弓精肉店」は、みんなから愛されるまちのお肉屋さんなのです。
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世知原茶スイーツも味わえるお菓子の老舗
緑茶かすてら、せちばる茶ドーナツ、和のパウンド「せちばる」……。こちらはすべて、世知原茶を使ったスイーツなんです!
世知原町とともに70年の歴史を歩む和洋菓子店の老舗「冨重製菓」では、世知原茶をはじめとする厳選素材を使ったお菓子を数多く取り揃えています。
地元の人から観光客まで、幅広く親しまれるお店です。三代目の冨重秀治さんが昔ながらの味を継ぎつつ、世知原茶の新たな魅力を全国に発信しています。
こちらで半世紀以上作られているのが長崎・佐世保銘菓の「茶もなか」。
お茶の葉をイメージした、ふわっとした口当りのもなかの中には……。
世知原茶の抹茶と自家製の白あんを丹念に練り上げた抹茶あんがとろ~り!この2つが口の中でとろける瞬間が、もう本当にたまらないのです。
時代が変わり先代から受け継いだ今も、お茶の風味を最大限に活かすための技術向上や徹底した衛生管理は欠かせません。
こうした取り組みも認められ、「全国菓子大博覧会」をはじめとする数々の賞を受賞し、2009年には宮内庁への御用品としても選ばれました。
「茶もなか」は、単品売りからギフトBOXまであるので、ちょっとしたプレゼントにも最適です。開封後はお早めに、冷やすとよりいっそうおいしくいただけますよ。
世知原茶はとてもデリケートなため、鮮度はもちろん、その日の温度や湿度に応じた製法にもこだわっています。お茶スイーツ好きがさらにときめく、ここだけの深い味わいをぜひ。大切な人へのお土産にもおすすめです。
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大正時代に架けられた石橋
世知原町には、アーチ橋16基、一枚岩橋1基の計17基の石橋があります。
なかでも大正8年に架けられた「倉渕橋」は、長崎県内の単一アーチ橋では20.6mと最も長く、美しい外観。
当時の石工たちの卓越した技術と石材の豊富さ、時代を経てもなお人々の生活とともにあるその姿に感動します。ぜひ探しながら、まち歩きも愉しんでくださいね。
かつて炭鉱だった歴史もまちの随所に見られる世知原町。世知原線世知原駅跡の公園には、石炭輸送で活躍した鉄道のレールとSL車輪が展示されています。
歴史と自然にあふれた世知原で、心癒されるプチトリップをどうぞ♪
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この記事を書いた人
山本 千尋
フリーライター
佐世保生まれ在住のライター、演劇人です。地元の興味深いヒトコトモノを夏休みの自由研究のように楽しくて奥深い記事にし、それを本にする生活をしていきたいです。
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