住吉エリアの独立系書店を巡ろう!
公開日:2023/12/22最終更新日:2023/12/22浦上・平和公園
こんにちは!出島町の書店、BOOKSライデンの店主・前田です。
以前から長崎市内中心部の独立系書店や本を読むことができる場所をご紹介させていただいていますが、今回は市内中心部の北部エリア、住吉のあたりで営業されている個性的な独立系書店2店舗をご紹介させていただきます。
住吉エリアは観光というよりは地元の人たちの生活圏といった印象の強い街なのですが、果たしてどんな書店があるのでしょうか??
ヘンテコな本のセレクトショップ!Butterfly Effectさん
1店目は油木町にある「Book with Sofa Butterfly Effect(バタフライエフェクト)」さんです。住居スペースの一部を書店として開放し営業されています。文学作品、中でも海外文学作品がたくさん棚に並びます。
店主の古屋さんは物心つくころから本に親しんでおり、もはや読書は遊びのひとつだったそう。そんな本というものを自分の好きなように売りたいと考え日々営業されているそうです。
Butterfly Effectさんのコンセプトは「ヘンテコな本のセレクトショップ」。無意識に本に親しんできたご自身の経験から、そもそも読書に特別な価値はない!文学なんてヘンテコなものだ!と考えているそう。意味や目的を超えた、ただ「面白い」本を揃えているとか。
つい「○○のため」、や「これを読むことで自分を変えたい!」といった目的や意味を意識した上で読書にあたることが多い現代の読書状況ですが、本を読む行為自体が目的となった読書をもっと楽しんでも良いんじゃない?そもそも一冊で人生変わるなんてあまりないし..と古屋さんは話します。少しずつ少しずつ、自分の「なんか好きだから」とか「気になるから」で読んだ本が少しずつ時間をかけて自分や周りに影響を与えるのではないか..そんな想いから店名の「Butterfly Effect」はきています。すごく共感するお言葉でした。
ネコちゃんも店番しています!
そんなButterfly Effectさんでは定期的に読書会を開催されています。読書会のテーマは「世界一気楽な読書会」。通常、テーマとされた課題本を読書会当日までに読んできて、感想や考えを参加者同士で話し合うというのが一般的ですが、Butterfly Effectさんの読書会は読み終わっていない状態で参加してもOKだそう。というのも読んでいない人でも読書会をきっかけに読んでみてくれれば良いんだそうです。本を読みたいがどれを読めば良いかわからない、選ぶことに苦労する方にはすごく良いきっかけになるのではないでしょうか?こちらの読書会の参加は予約制ですので予約をお忘れなく!
ヘンテコとは仰るものの、文学が好きな気持ちが棚からもイベントからも伝わる..そんなButterfly Effectさんでありました。
①本質は古典に宿る?哲学書が棚に並ぶitieさん
次にご紹介するのは住吉町にて営業されている「BookCafe&Bar itie(イチエ)」さんです。商店街に面したビルの2階で、2021年10月から営業されています。店名である「itie」の由来は、一期一会から。それに加え、itieという言葉は「お茶会」という意味も併せ持っているそうで、この場所で本をきっかけにたくさんの人が交流してほしいという思いもあるそうです。
店主の川上さんは10年以上料理人をされていて、それに加えて過去に経営学を学んでいたことから、実際に自分でお店をしてみたいとこのitieさんを開店されました。
まずは料理をいただきましょう。今回注文したのはハンバーグカレーセットです。柔らかいハンバーグとちょうど良い辛さのカレーが絶妙にマッチした一品!
②本質は古典に宿る?哲学書が棚に並ぶitieさん
さてそんなitieさんの書籍コーナーを覗いてみましょう。itieさんで売られている本は人文社会学系のものを中心としたいわゆる「古典」と呼ばれるものが多く、これは川上さん曰くどうしてもご自身の好みが反映されてしまうそう。確かに、同じ書店経営者としてはすごく共感しますよ。。厳選された棚からは、じっくり考えながら読みたくなるような骨太の作品が並んでいました。
itieさんでも月に一回、オンラインで読書会が行われています。その名も古典輪読会。川上さんに読書会の魅力を聞いてみたところ、アウトプットの場があることで本を読むモチベーションになるとのこと。一人でもその本を読むことはできますが、読書会という機会があることで読むきっかけになったり、良い意味で読まないと!とプレッシャーになったりすることが魅力だと言います。そして本を通じて話を聞いてもらえる時間も読書会ならではの良さ。普段あまり話すきっかけがない話のネタであったり、自分自身の心の内であったりが、一冊の本を介することで吐露することができる。その距離感が良くて、ある意味セラピーみたいなんですとおっしゃっていました。読書会で仲良くなった人同士の交流も盛んに行われており、まさに本を介して人と人が交流する場所、ですね!
itieさんでは本を一人読むことも歓迎だそう。一人で読むも良し、読書会でみんなと繋がるも良し。物を考えることが好きな人にはたまらない空間です!
おわりに
今回は住吉エリアに位置する独立系書店2店舗をご紹介させていただきました。市内中心部から少し北に位置するとは言え、路面電車を使えば約30分で行くことができる住吉エリア。もともとこのあたりには長崎大学もあり、文教色の強いエリアで、本との相性も良さげな街。長崎市民の生活を覗き見しつつ、今回ご紹介した2店へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか??
※掲載情報は取材当時のものです。公式サイトでの事前確認をおすすめします。
この記事を書いた人

前田侑也
書店・BOOKSライデン店主
大阪府堺市出身。1992年生まれ。東京・大阪でITエンジニアとして働き、夢で あった本屋を開くため2021年7月長崎に移住。同年11月、出島町に本屋「BOOKS ライデン」を開業し現在に至る。趣味は読書と居酒屋探索。
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