長崎のお盆行事「精霊流し」とは?【県外の人に紹介したい長崎の行事】
公開日:2023/12/25最終更新日:2023/12/25長崎市
今回の記事では、長崎の伝統的な盆行事「精霊流し(しょうろうながし)」をご紹介します。精霊流しは、筆者が長崎に移住してから、特に驚いた長崎の伝統文化の一つです。初めて目にする方は、びっくりすること間違いなし。県外の方に、是非とも紹介したい&体感してほしい長崎の行事です。
精霊流しとは?
精霊船
精霊流しは、長崎の伝統的な盆行事で、亡くなった故人の霊を弔うために行われます。毎年8月15日に実施され、家族や町内の人々が手作りの船を曳きながら市内を練り歩き、故人を極楽浄土へと送り出します。日が暮れると、町中から「チャンコンチャンコン」という鐘の音や「ドーイドーイ」の掛け声が聞こえ、また数多くの爆竹の音が空に響き渡ります。
まちの至る所に爆竹が
精霊流しは、雰囲気が非常に独特です。亡くなった人を思うと、悲しい。でも、まちには多くの人や爆竹の音が溢れて、賑やか。しかし、やはり大切な人とのお別れなので、寂しい。このような感じで、明るさと寂しさが入り混じります。
また、精霊流しは江戸時代に中国から伝わった「彩舟流し」が起源とも言われており、長い国際交流の歴史を持つまち、長崎ならではの行事でもあります。
実際の様子
沿道にはたくさんの見物人
ここからは、精霊流しの1日の様子をレポートします。
精霊流しは、夕方から本格的に始まります。市中心部の道路は交通規制がなされ、たくさん精霊船が曳かれていきます。沿道は、精霊流しを見守る沢山の人で溢れかえり、出店も出ます。まち全体で故人を見送っているこの感じが、自分はとても好きです。
爆竹の音が鳴り止まない
精霊流しといえば、爆竹です。爆竹を鳴らすのは、魔除けの意味があるのだとか。夕方以降は、爆竹の音が聞こえない時がないほど、町中で大量に炸裂します。沿道を歩いていたり、写真を撮っていると、たまに破片が飛んで来るほどです。ちなみに、この時期になると長崎では、コンビニなどの店頭に耳栓が並びます。大きな音が苦手な人は、耳栓の入手が必須です。
家族や町ごとに、様々な種類の精霊船が作られる
今年2023年は、新型コロナウイルスの影響が落ち着いてきたこともあり、例年以上の精霊船の数と人の賑わいがありました。海外からの観光客さんの姿もちらほら見られます。
ユニークな精霊船も
時折、個性豊かな精霊船が曳かれていきます。故人にゆかりのあるものを模った船や、動物の船など、毎年、思い思いの精霊船が登場します。
精霊流し中でも、路面電車が稼働しています
ちなみに、精霊流し実施中も、路面電車が通過してきます。毎年のことなので、運転手さんも慣れっこなのかも(?)しれません。警察官が交通整理して、事故や怪我がないよう、安全を保ちます。
日が暮れてからが本番
大型の精霊船も
日が暮れてからも、次々と精霊船が曳かれていきます。爆竹の音もとどまるところを知りません。今年は、19:30〜21:00頃がピークタイムの様に感じました。今年の夏も、長崎のお盆が賑やかに過ぎていきます...。
ちなみに、初めて精霊流しを見にいく方は、市街地中心部の「春雨通り」「中央橋」「県庁坂」あたりが、特に多くの船と人とで賑わうので、この3スポットを中心に見学するのがおすすめです。
精霊流し終了直後の様子
精霊流し終了直後
まるで世紀末のような雰囲気
夜の10時を過ぎて、今年の精霊流しは終了しました。まちの至る所に、爆竹のゴミが散乱しています。静けさの中から、まだ時折爆竹の音が聞こえてきて、まるで、世紀末のような雰囲気が漂います。
数年前、初めて精霊流し終了後の町中の様子を見た時に「ここまで散らかって、明日は一体、どうなるんだろう・・」と思ったのですが、その答えは、翌日の朝にありました。
翌日の朝の様子
翌日の朝8:00の様子
昨夜の爆竹の山が嘘のよう
翌朝早起きして、昨日多くの精霊船が通った「春雨通り」に来てみました。まるで、昨夜のカオスが嘘のよう。道中に散乱していた爆竹のゴミは片付けられ、いつもの日常に戻っています。実は、精霊流しのもう一つの見どころは、翌朝のまちの様子なのです。夜間に清掃作業がなされるそうで、翌朝には、まちがすっかり綺麗になっています。切り替えの速さが凄まじい・・!
ということで、2023年長崎のお盆行事「精霊流し」の様子をレポートしてみました。いかがだったでしょうか。ちなみに、Youtubeで「長崎 精霊流し」と検索すると、当日の雰囲気がわかる動画がいくつも(長崎地元のテレビ局が企画・撮影したものも)アップロードされているので、そちらも見てみると、さらに雰囲気が伝わるかと思います。
ではではみなさん、ぜひ一度、長崎の精霊流しを体感しにきてくださいね!
この記事を書いた人

品川 正之介
Youtuber/Podcaster
1991年生まれ、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、プラントエンジニアリング会社で約2年、IT系スタートアップで約3年働いた後、2020年2月に東京から長崎(長崎市)へ移住。現在は「外から来た人の目線で、長崎の魅力を掘り起こし、伝え、生かす」をテーマに、Podcast(「ながさきラジオ」)やYouTube(「長崎暮らし」)での情報発信を行う。口癖は「長崎は銀河系で一番面白い」。
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