【長崎観光ネイバー:眼鏡橋】観光客と地元民が混じり合う川沿いをまち歩き
2024/2/28 公開
風頭・寺町・中島川
長崎の代表的な観光名所を歩きながら、その周辺スポットやお店、そして会いたくなる近隣の人(ネイバー)を紹介する「長崎観光ネイバー」。今回は長崎観光で外せない人気スポットである眼鏡橋を中心に巡ります。長崎市中心部の中島川には、石造りの歴史ある橋がいくつもかかっています。その一つである眼鏡橋は、定番の記念撮影スポットとしても有名。川沿いには個性的なお店が並んでいるので、まち歩きと合わせて楽しむのがオススメです。観光客はもちろん地元民にも人気の要注目エリアとなっています。
記念撮影にピッタリの長崎らしい観光名所
眼鏡橋に向かうなら路面電車での移動がスムーズ。「めがね橋」の電停で降りて徒歩数分で到着します。ちなみにこの電停は以前「賑橋」という名前でした。こちらのほうが馴染み深い長崎人が多いかもしれません。
横断歩道を渡って建物の裏手にまわると、中島川が見えてきました。特に眼鏡橋が有名ですが、実はたくさんの歴史ある石橋が連なっている場所でもあります。ちなみに写真を撮るなら、一つ下流側にある袋橋から撮るのがオススメです。
さて、いよいよ眼鏡橋の登場です。この日はあいにくの天気でしたが、雨の石橋や石畳も風情があります。眼鏡橋という名前の由来は、川面に映った影がまるで眼鏡のように見えるからという、いたってシンプルなもの!手前の飛び石に並んで撮影する修学旅行生をよく見かけます。
1634年頃に造られた日本最古の石橋で、興福寺の黙子如定(もくすにょじょう)禅師が架設したそう。1982年に起こった長崎大水害で橋の一部が崩壊してしまいましたが翌年に復元。その後、国の重要文化財に指定されました。
もちろん眼鏡橋は実際に渡ることができます。その前に手すりに注目。実は、束柱の本数が左右で少し異なっています。これは水害で折れた手すりを支えるために束柱を追加したことや、流失部材を再利用していることが関係しているそう。なんだか不思議ですね。
そして眼鏡橋よりも上流の護岸にあるのが、触ると幸せになるといわれているハートストーン。ちょうど手の届く場所にキレイなハート型の石があるので探してみましょう。取材中も観光客だけではなく、近くの会社で働く人や買い物途中の主婦、学校帰りの子どもたちなど、いろんな人たちが石橋を行き交っていました。川沿いの日常生活と繋がった観光名所の眼鏡橋は、長崎らしい穏やかな空気を感じるのにピッタリのスポットだと思います。
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日常の食に寄り添う本格派イタリアンをテイクアウトで①
ここからは中島川沿いにあるお店と人をご紹介します。眼鏡橋のすぐ近くにある「Ponte(ポンテ)」は、イートイン・テイクアウトで楽しめる本格派のイタリアンや洋食メニューが自慢。数軒となりのイタリアンレストラン「ピアチェーボレ」の姉妹店として営業しています。
ショーケースに並ぶのは、メイン、サラダ、スープ、アラカルトなど多彩な料理の数々。食材の旬や仕入れに合わせてアレンジしながら毎日約30種類を揃えていて、一皿で完結するワンプレートの料理も充実しています。そして目を引くのが色とりどりの野菜。オーナーシェフの今道康弘さんは直接生産者とやり取りしながら、長崎産の新鮮な食材を活かすことを大切にしています。
オープン当初、イタリアンレストランが営む惣菜店というスタイルは珍しかったそうですが、コロナ禍によるテイクアウトブームが追い風となりました。「当時はレストランが営業できず、経営面でも非常に助かりました。今は落ち着いてきましたが、レストランとテイクアウト、それぞれお客さまがうまく使い分けてくださっている印象ですね」と今道さん。お店はランチタイムよりも夕方が忙しいそうで、主婦や学生、会社帰りのビジネスマンなど、幅広い客層から親しまれています。
日常の食に寄り添う本格派イタリアンをテイクアウトで②
オシャレな盛り付けやレストラン仕込みの味わいを実現しながら、あくまで敷居の低さを大切にしている今道さん。日々の食卓の延長上で気ままに楽しんでほしいという思いから、なるべく時間が経ってもおいしさが損なわれない工夫をしています。例えば豚バラ肉のローストは、軽く燻製することで食欲をそそる香りを加えながら旨みを閉じ込めます。また容器は電子レンジの加熱や冷凍保存にもそのまま使える素材を選んでいるので、お皿に移し替える必要もありません。写真のワンプレート「燻製ロースト」1,404円にはブランド豚・西海うずしおポークを使用しています。
せっかく川沿いを散歩するなら、持ち歩きしやすい「トルティーヤ」648円をテイクアウトするのもオススメ!取材日の具材は、自家製鴨ハムと玉子がメイン。噛むほど旨みが広がる絶妙なおいしさで、一本でも食べ応え十分でした。
ずっと前からテイクアウトのお店はしたかったと今道さんは振り返ります。「こうしてカウンターをはさんでお客さんと直接会話できる、この距離感が素晴らしいですよね。これからも長く続けていきたいです」と笑顔。顔の見える料理の安心感はそのままおいしさに繋がり、豊かなひと時をもたらしてくれます。
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自分の感性と向き合い、偶然の出会いを楽しむ雑貨カフェ①
次に訪れたのは、眼鏡橋よりも少し下流の道路沿いにあるお店「ノボリクダリ」。長崎らしい名前の雑貨店で、奥にはカフェスペースも設けられています。
店内に入ると、オシャレな雑貨がズラリと並んでいます。どれもデザインや素材感が特徴的で、特にジャンルやメーカーに縛られず自由にディスプレイされています。手頃なサイズ感のものが多いので、ちょっとしたお土産やプレゼントにも良さそうです。
それぞれ説明書きなどもありますが、気になったアイテムの情報はぜひ店主の平野さんに聞いてみましょう。選んだ理由やこだわりのポイントを知ることができると思います。それにしても本当に幅広い商品が並んでいて、コンパクトな店内ですが、思わず立ち止まって見たり触れたりしたくなります。
店内には長崎ならではの商品も多数ありますが、それだけに偏ることなく目を引く商品が充実しています。ちなみに取材時、気になったソックスを思わず一足購入。こうした偶然に“お気に入り“と出会えるのもお店の魅力かもしれません。全く狙っていなかったアイテムとの予期せぬ出会いは、オンライン通販にはない楽しみですね。
こうしてゆっくり雑貨を眺めていると、自分の時間感覚がゆっくりになったように感じられます。そういえば、目的もなく買い物に出かけたのはいつぶりだろう。そんなことを考えながら、じっくり吟味しながら店内を回りました。
自分の感性と向き合い、偶然の出会いを楽しむ雑貨カフェ②
取材時はかなり寒さが厳しかったので、柔らかな風味の「和紅茶ラテ」450円を購入。このマグカップがまた優れもので、おしゃべりしていても冷めずにしばらく暖かいまま!こうした何気ない使い勝手からも、平野さんの優れたモノを選ぶ感性が伝わるように思います。ちなみに扱っているのは長崎県東彼杵町の茶農家の茶葉。パッケージも可愛くて印象的です。
顔の見える馴染みのお店。自分はどれだけ知っているだろう。同じような商品をどこでも購入できるような時代だからこそ、個性とこだわりが感じられる雑貨店がより一層魅力的に感じられます。旅の思い出の品を買い求めるだけではなく、そこに人とのあたたかな交流の思い出がプラスされたら、その喜びはさらに大きくなりそうです。
今回は2店舗をピックアップしましたが、眼鏡橋近くの中島川沿いには他にもたくさんの個性的なお店があり、観光客も地元客も分け隔てなく迎えてくれる魅力的な店主がいます。歴史ある石橋を眺めて、渡り、そのまま周辺を散策してみましょう。いろんな出会いも含めて眼鏡橋を訪れた思い出となるはずです。
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この記事を書いた人
藤本編集局 藤本明宏
ライター
長崎県在住のライター・インタビュアーです。人とまっすぐ向き合い、心のこもった文章を書いていきたいと思います。また普段から、インタビューで長く、ゆっくりと話を深めることに意識を向けています。
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