長崎くんち2024②踊町ごとに演し物を披露「奉納踊り」・「庭先廻り」
2024/9/26 公開
長崎市
2024年「長崎くんち」は10月7日に開幕。
長崎くんちは毎年10月7日~9日までの3日間となりますが、開幕日から3日間楽しめる、踊町ごとの演し物が見れる「奉納踊り」・「庭先廻り」を紹介します。
【奉納踊り】踊町ごとに稽古の成果を披露
諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭、長崎くんちが10月7日に開幕します。今年の踊町は八幡町「山伏道中、剣舞、弓矢八幡祝い船」、麹屋町「川船」、銀屋町「鯱太鼓」、西濵町「龍船、二胡演奏」、興善町「本踊 石橋(しやっきょう)」、万才町「本踊 祭祝萬歳町(まつりをいわうまんざいまち)」、五嶋町「龍踊」の7カ町。それぞれ傘鉾(かさぼこ)も奉納します。小屋入り(6月1日)から重ねてきた厳しい稽古の成果を披露する7カ町の奉納踊りを紹介します。
①八幡町「山伏道中、剣舞、弓矢八幡祝い船」
静と動を巧みに織り交ぜた船回し
諏訪神社へ奉祷文を奉納しようと、山伏が侍大将に守られて大海原を渡り、長崎港へ到着する様子を表現。伸びやかな詩吟に合わせ、少年・成年剣士が勇ましく剣舞を舞い、「オッセオッセ」の掛け声とともに根曳衆が弓矢八幡祝い船を引いて登場します。静と動を巧みに織り交ぜた船回し、町のシンボルである白バトが船上から一斉に飛び立つ華やかな演出、計5回転半の大技「八幡返し」へと一気に畳み掛けると、熱気は最高潮に達します。傘鉾の飾物(だし)は弓矢に白バト。
縦横無尽の船回しを披露する弓矢八幡祝い船(2014年の様子)
八幡町の傘鉾
②麹屋町「川船」
連続5回転の大技「梅の風車」
水色の着物姿の根曳衆による力強い船回しは、急流にもまれながら漁に出る船を表現しています。長采(ながざい)の合図で一気に突き進む「突っ込み」のほか、連続5回転の大技「梅の風車」が最大の見どころ。船の中心を軸に回すのが麹屋町のこだわりです。全員女子の囃子方が鉦(かね)や太鼓を懸命に打つ姿にも注目です。傘鉾の飾物は紅白梅。垂れは金糸の三社紋ちらし。
連続5回転の大技「梅の風車」が見どころの川船(2014年の様子)
麹屋町の傘鉾
③銀屋町「鯱太鼓」
中国の「蓬莱鯱(ほうらいこ)伝説」を表現
天に昇った鯱が黄金の龍に変わり吉祥をもたらすという中国の「蓬莱鯱伝説」を表現しています。「ホーライコ」の勇ましい掛け声に合わせて、金色の鯱を載せた重さ約750キロの山飾を宙に上げ、片手で受け止める豪快な「上げ」は圧巻です。鯱を呼び起こす据太鼓のメンバーの華麗なバチさばきも見どころ。傘鉾の飾物は「流金出世鯉」。長崎の写真家、上野彦馬の祖父が制作したものです。
山飾を豪快に宙に上げ、観客を沸かせる鯱太鼓(2014年の様子)
銀屋町の傘鉾
④西濵町「龍船、二胡演奏」
高速回転が真骨頂
絢爛豪華な意匠で飾った龍船は、全長約11㍍、高さ約4㍍、重量約3㌧。江戸時代から続く出し物で、長崎の貿易商に嫁いだベトナム王族の娘が入港し華々しい行列で長崎市内を練り歩く様子を表現します。船首の龍には仕掛けが施され、煙を勢いよく吐き、首は左右に動き、目も鋭く光ります。一番の魅力はスピードと迫力で、ハンドルとブレーキを備えた三輪構造で実現する高速回転が西濵町の真骨頂。今回、初めて取り入れる二胡(にこ)の演奏も見どころです。傘鉾の垂れは前日(まえび)、後日(あとび)とも長崎刺繡によるもの。
高速回転が真骨頂の龍船(2014年の様子)
西濵町の傘鉾
⑤興善町「本踊 石橋」
能を基にした格調高い演目
興善町が1985年以来奉納する本踊「石橋」は、能を基にした格調高い演目。中国の霊山に架かる石橋の傍らで獅子や蝶の精が戯れる様子を舞で表現しています。見どころは「赤獅子」「白獅子」の勇壮な毛振りや、蝶の精の優美さ、子どもたちが演じる「楽(がく)の精」の可憐さです。傘鉾の飾物は、八足台に烏帽子(えぼし)と鈴、周りに紅葉。
大胆かつ繊細な舞を披露する赤獅子と白獅子(2014年の様子)
興善町の傘鉾
⑥万才町「本踊 祭祝萬歳町」
みんなで踊るをコンセプトに
1993年から「祭礼祝長崎万歳(まつりをいわうながさきばんざい)」を奉納してきましたが、今回からは「みんなで踊ろう万才町」をコンセプトに曲を一新。振り付けは花柳寿々初さん、作曲は松永鐡文吉さんが担当しました。万才町の起源を口上とし、長崎のわらべうたや、ぶらぶら節、浜節などを加え、過去から現在、未来へとつながる新たな絵巻をイメージしています。現代風のリズムに合わせて、踊り子だけではなく、踊り子の父母や町の役員、婦人部までみんなで踊るところが注目ポイント。
傘鉾の飾物の朱盃には、故北村西望氏が揮毫(きごう)した「萬歳」の文字が光っています。
万才町の本踊(2024年9月15日踊見世の様子)
万才町の傘鉾
⑦五嶋町「龍踊」
スピードと高さ、元気さが持ち味
今年で4度目の奉納となる五嶋町の龍踊。長崎くんちで龍踊が奉納されるのは久しぶりです。青龍と白龍の2体を操り、龍体をくねらせながら玉を追う様子や、玉を必至に探す様子を静と動のめりはりを付けて演じます。60人の龍衆は20~30代が中心で、スピードと高さ、元気さが持ち味。傘鉾の垂れは約110年前の「ミヤコギク」と約170年前の「日本三景」の2種類あり、前日(まえび)と後日(あとび)で入れ替えています。
とぐろを巻き、ゆっくりと辺りを見回す龍(2014年の様子)
五嶋町の傘鉾
各踊町の奉納踊り見物について
各踊町の奉納踊りは10月7日~10月9日にかけて、以下の場所でそれぞれ見物できます(事前に観覧券の購入が必要)。
諏訪神社
住所:長崎県長崎市上西山町18-15
時間:10月7日 7:00 ~ 10:30、16:00 ~ 19:30
10月9日 8:30 ~ 12:00
電話番号:095-821-8596
中央公園くんち観覧場
住所:長崎県長崎市賑町5-100
時間:10月7日 8:10 ~ 11:40、17:10 ~ 20:40
10月8日 8:00 ~ 11:30
電話番号:095-822-0111
お旅所
住所:長崎県長崎市元船町17
時間:10月7日 9:10 ~ 12:40
10月9日 7:00 ~ 10:30
電話番号:095-823-9073
八坂神社
住所:長崎県長崎市鍛冶屋町8-53
時間:10月8日 7:00 ~ 10:30
電話番号:095-822-6750
【庭先廻り】街角で演技のおすそ分け
諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭「長崎くんち」の3日間、踊町は連日、諏訪神社など各所で奉納踊りをした後、「庭先回り」に繰り出します。街中では、はやしとシャギリの音が鳴り響き、にぎやかなくんちムードに包まれます。
庭先まわりとは、神前に奉納した演技をおすそ分けするため、各踊町は長崎市中心部の企業や店舗前などで演技の一部を披露することです。奉納踊りの呈上を受けた所は後日、町事務所まで「御花」と呼ばれる金品を持って行くのが習わしとなっています。諏訪神社などの観覧券が手に入らなかった場合でも、街角で披露される演技などを気軽に見物することができます。
長崎市中心部のいたるところで演技が披露される「庭先回り」(2014年の様子)
住所:長崎市中心部の各所
時間:10月7日~9日、朝から夜まで
「長崎くんち2024の楽しみ方」記事はこちらよりご確認ください。
この記事を書いた人
STLOCAL編集部
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