のどかな漁師町を歩き、眺め、味わうマイペースな旅
2022/2/28 公開
茂木
漁港を中心に広がる茂木町は、長崎市内から車で15分程度という近さでありながら、独特の穏やかな空気に包まれています。今も漁師町としての暮らしや、人々の気取らない交流が残っており、なんともノスタルジーな気分に。コンパクトな町内には個性豊かなスポットがあり、穏やかな海を眺めながら散歩するだけで、なんだか満たされた気分になります。もちろん地元内外から愛されるグルメも充実。こんな長崎旅もあるんだと、発見に満ちたひと時を楽しみましょう。
海と山に育まれた町を一望する
まずは茂木町の雰囲気を感じられる景色やスポットをご紹介します。山側の高台にある裳着神社はとても歴史が古く、江戸時代までさかのぼります。明治時代に現在の名前に改称されますが、この「裳着」という言葉は、神巧皇后がこの場所に上陸した際、下袴を着替えたことが由来となっているそうです。
階段を上がった神社の前からは、茂木を見渡す景色を眺められます。実は海側の部分は埋立地で、どんどん海に向かって広がっていったという町の歩みが感じられます。
今度は町の海側に向かいましょう。茂木町といえばやっぱり港。ここで獲れた新鮮な魚介類が、長崎市中心部の鮮魚店や飲食店にも運ばれています。また長崎市内などから釣り人も多く訪れています。
港近くにあり、天草を結ぶフェリーターミナル内には、直売所「もぎたて新鮮市」があります。旬の魚介類を中心に、地元の産物を生産者価格で販売しています。獲れたての商品からどんどん売れていくので、早い時間に立ち寄るのがオススメです。
港近くにある、細長い形の「茂木水辺のきずな公園」。漁船が並ぶ岸壁に沿って広がっていて、こんなに港の近くに公園があるのは漁師町らしいところかもしれません。ボール遊びは要注意ですね(笑)。
今度は茂木を一望できる、潮見崎観音と月見台に向かいましょう。鳥居をくぐると待ち構えているのは、なんと144段もの石段!一段ずつゆっくり、足元に気をつけながら上っていきましょう。
上りきった先の右手には、潮見崎観音がおさめられたお堂があります。開山は1706年で、子授けの観音として信仰されています。
お堂の正面からは、橘湾を一望する景色を眺めることができます。取材日はあいにくの天気でしたが、天気が良い日は雲仙岳や、熊本県の天草まで見えることもあるそうです。
お堂の反対側には、大きな月見台。かつては灯りを立てて、灯台の役割を担っていたそう。こちらからは漁港側を見渡す景色が見られます。
ちなみにこの下の通りは、活魚料理の料亭が立ち並ぶエリア。“長崎の奥座敷”として、多くの団体客を迎え入れています。建物や看板からは古き良き時代が感じられる、風情のある場所でもあります。
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①地域に根付いた食を堪能する
ここからは茂木町ならではの食を紹介します。
港の通りから山側に進んだ場所に店を構える「お食事処 やまさき」は、創業から50年以上の老舗。2代目の山﨑さわ子さんが切り盛りしています。
もともとは食堂だったそうで、代替わりの際に店名を改めた後も現在に至るまで、親しみやすい雰囲気やメニューは変わりません。「茂木は料亭が多いので、少人数や普段使いでも足を運びやすい食事処として、地元の旬の魚を味わってもらえたら」と語る山﨑さん。
店内は広めの座敷と、小上がりのカウンター席も用意。ここの居心地がとにかく抜群!常連客がこぞって座るのに納得です。板長の淀みない包丁さばきを間近で眺められるのも心躍ります。
今回いただいたのは、ランチメニュー「お昼のランチ」968円。にぎり寿司かちらし寿司を選べて、贅沢な茶碗蒸し付きなのも嬉しいですね。地元で獲れた旬のネタは新鮮で、これぞ間違いのないおいしさ!無言で食べ進めてしまいました。
他にもこの店の看板メニューといえば、茂木町で獲れたハモを使った料理があります。要予約であらいや湯引き、刺身など、まさにハモづくしのコースを楽しめます。旬を迎える夏頃は特に多くの客で賑わうそうです。
関連するスポット
②地域に根付いた食を堪能する
そして茂木町を訪れたら必ず立ち寄りたい老舗和菓子店があります。「茂木一まる香本家」の創業は、なんと1844年!茂木町とともに、歴史を重ねてきたお店です。
創業当時からの名物商品といえば、中が空洞になっている不思議な焼菓子「一○香(いっこっこう)」。焼く前には餡を入れるのに、炊き上がると中身のない状態で、初めて食べた人からクレームが入ることもあるそうです(笑)。もともとは中国から伝わった焼き菓子がベースで、初代の榎市衛門さんが長い年月をかけて試行錯誤した逸品。その香ばしい香りから名付けられました。
お店で売り始めてから瞬く間に人気商品となった一○香。当時は甘いものがとても貴重で、長崎市丸山の芸妓さんが買い求めに茂木町を訪れることもあったそうです。長崎市中心部に店を構えていた時期もありましたが、現在は地域密着で、地元店舗のみを販売拠点としています。
もう一つの看板商品が、地元ブランドの茂木びわを使ったゼリー。おいしい茂木のびわを、一年中おいしい状態で食べてほしいという思いから、ゼリーをはじめさまざまなスイーツを開発しています。
専務取締役の榎倫子さんは「もう新商品のアイデアの方が多すぎで、生産が間に合わない状態なんですよ」と笑顔。地元農家の情熱を受け継いで、長崎銘菓として発信します。
2022年1月から本店はリニューアル工事を行い、春頃の完成予定。新しくなった店舗では、一○香の製造工程を見学したり、実際に作って焼き立てを食べる体験プログラムも企画中とのことです。
茂木の人たちに共通しているのは、地元への愛着が当たり前のようにそこにあると感じている様子でした。今時の派手な場所ではないけれど、何気ない漁港の景色や人との会話には、唯一無二の魅力があります。のんびり時間を忘れて、茂木の町を巡る旅に出かけましょう。
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人
STLOCAL編集部
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