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「長崎居留地ものがたりツアー」〜蝶々夫人と孔子を訪ねて〜【第1話】

2022/8/22 公開

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東山手・南山手

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日本の数少ない玄関口だった出島を目がけて来た各国の外国人が暮らし、自分たちの新しいふるさとの街を作り上げていった長崎居留地。そんな異国情緒あふれる場所を舞台にした「長崎居留地ものがたりツアー」の第一弾が、7月9日・10日の二日間に渡って開催されました。今回は実際にツアーに参加しながら体験レポートにてご紹介。初日のタイトルは、第1話「蝶々夫人をさがして」。居留地をさるくガイドの方に案内してもらいながら歩き、夜は長崎食材をふんだんに使用したディナーを堪能し、オペラ「蝶々夫人」の豪華生演奏と歌を聴く、盛り沢山な内容です。

五感で長崎の物語に触れる観光ツアー

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ツアーを主催するのは、長崎居留地の玄関口に位置する「ホテルニュータンダ」。発起人である企画部次長の八尾直美さんの「長崎居留地の魅力をもっと知ってほしい!」という強い気持ちから動き出しました。 「近くには大浦天主堂やグラバー園といった定番の観光スポットもありますが、居留地に少し足を伸ばすだけで、歴史ある建物や通りとたくさん巡り合うことができます。単なる観光ではなく、長崎居留地という場所の物語に触れてほしいという気持ちでツアーを企画しました」。
初日のスタートは、蝶々夫人ゆかりの場所を歩く長崎さるくから。ガイド役を務める桐野耕一さんは、居留地エリアや出島のまち歩きガイドを初めて15年以上という大ベテランです。
当日は天候に恵まれ過ぎなほどの快晴(汗)。日陰を歩きながら長崎らしい石畳を登っていきます。ツアー参加者の皆さんと一緒にまち歩きをするのは、なんだか修学旅行のようで懐かしい気分に。途中、汽笛の音が聞こえてきました。
まずは有名なオランダ坂に到着。「出島とオランダ人の関わりは深く、昔は外国から来た人のことを、親しみを込めて国籍問わず“オランダさん”と呼んでいたんです。それで外国人の住む居留地に向かうこの坂が、オランダ坂と名付けられたんです」と説明する桐野さん。軽快なトークに自然と引き込まれます。
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活水学院

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居留地エリアは宣教師が設立に携わった学校が多くあり、なんと当時は約10校も開校していたそう。まさに西洋文化をいち早く取り入れた学生街だったのです。


「この海星高校と活水女子大の間の道は、蝶々さんにちなんで“蝶々坂”という名前なんです。私が勝手に名付けました」と笑いを誘う桐野さん。知識の深さだけではなく話術も素晴らしい方で、暑い中歩いて巡るのも苦になりません。

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東山手十二番館

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そしてさるくの目的地である東山手十二番館に到着。もともと領事館や宣教師の住宅として使用されていた建物で、重要文化財に指定されています。ちなみに“十二番館”というのは、建物の当時の住所を表しています。この場所に住んでいたアービン・コレル宣教師の妻であるジェニー・コレルが、アメリカに住む弟に出していた手紙が、実は蝶々夫人の物語が誕生するきっかけとなります。

「ジェニー・コレルの弟は小説家でした。長崎での生活を綴った姉からの手紙から着想を得て書き上げたのが、小説『蝶々夫人』でした。これがベストセラーとなって劇が作られ、アメリカで公演されます。そして海を渡ったロンドン公演を実際に観たプッチーニが感動して書き上げたのが、今や世界的に有名なオペラ『マダム・バタフライ』なんです」。桐野さんの話を聞く私たちが、今まさに眺めている景色が、まさに蝶々夫人の物語の一部となっているのです。これまで何気なく歩いていたまちの印象が、大きく変わったように感じました。

長崎食材が輝く豪華なディナー

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そしてお待ちかねの夕食は、長崎産の食材をふんだんに使用した「マダムバタフライディナー」です。

まずは色鮮やかな前菜から。特に印象的だったのは、島原産のブランドじゃがいも「出島」を使用したムース。からすみの香りと柔らかな甘さがマッチして、濃厚なおいしさが広がります。



その後も贅沢な料理の数々が続きます。魚料理は長崎県産スズキのポアレに鮃のグリエ、肉料理はアンガス牛のロースステーキに諫早市のブランド豚「諫美豚」のラタトゥイユチーズ焼きバルサミコソースと、食べてしまうのが惜しいほどの品々です。


デザートは、こちらも島原産じゃがいも「西海31号」「長崎黄金」を使用したパルフェが一押し。もったりした食感に存在感のある香りと甘さはとっても上品。思いもよらない味わいでした。全体通して長崎らしさにあふれるコースに大満足です。

心に響く、一夜限りの生演奏

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お腹も満たされたところで、いよいよ本日のメインイベント。オペラ蝶々夫人「ある晴れた日に」の一夜限りの豪華生演奏の開幕です!まずこの距離感にびっくり。音の響きが抜群の空間かつ、これだけ近い距離で聴けるなんて滅多にありません。


ピアニスト・寺谷陽子さん、バイオリニスト・中西弾さんの素晴らしい演奏に合わせて、日中居留地をガイドしてくださった桐谷さんが「蝶々夫人」の物語を朗読(めちゃくちゃいい声でした!)。開国した日本で一旗あげようと来日する、さまざまな国の若者たち。活気あふれる出島や居留地の雰囲気が目に浮かぶようでした。


そしていよいよ、蝶々夫人に合わせた美しい着物をまとったソプラノ歌手・原さとみさんが登場。もうのっけから声の迫力がすごい!そして何より圧倒されたのは、その表現力。歌の抑揚や繊細な間、歌声だけではなく表情からも、蝶々夫人の切ない心の内が感じられます。


名曲「ある晴れた日に」で会場の一体感は最高潮に。生演奏ならではの音の響きが、こちらの心にグッと迫ります。そして居留地を実際に歩き、蝶々夫人が見たであろう景色を眺め、街並みを五感で感じたからこそ、より歌声や演奏が立体的に聞こえてくるようでした。


アンコールでは「長崎ぶらぶら節」が披露され、自然と手拍子が広がりました。あたたかい雰囲気の中、コンサートは幕を閉じました。


まち歩きと料理と音楽。それぞれ別々に楽しむことはあっても、物語という共通項のもとで一度に体感する機会は珍しいのではないでしょうか。蝶々夫人が一つの鍵となり、当時の居留地や長崎の空気感をより深くイメージすることができました。1日目はこれにて終了、ツアーは翌日に続きます!そちらの記事も乞うご期待。


※情報は取材当時のものです。

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この記事を書いた人

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藤本編集局 藤本明宏

ライター

長崎県在住のライター・インタビュアーです。人とまっすぐ向き合い、心のこもった文章を書いていきたいと思います。また普段から、インタビューで長く、ゆっくりと話を深めることに意識を向けています。

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写真提供:長崎県観光連盟写真・記事提供:公益財団法人佐世保観光コンベンション協会
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