想いを紡ぐものづくり。大村市の手仕事のお店
2024/7/19 公開
長崎空港・大村市
日本の伝統精神が息づくものづくり技術。そして、鎖国時代や明治時代の近代化の中で、西洋の文化がいち早く入ってきていた長崎。そんな歴史的背景のある長崎県の玄関口・大村市には西洋文化と日本のものづくり精神が織りなす手仕事のお店があります。
今回は大村市にある手仕事のお店を5つ、ご紹介します。
①完全予約制のオーダーメイド!独創的な皮革工芸品を手がける銀職庵水主(ぎんしょくあんかこ)
水主町(かこまち)に工房を構える銀職庵水主(ぎんしょくあんかこ)。
こちらでは牛、イノシシ、鹿などの革を始め、エキゾチックレザーと呼ばれる希少な革を使ったオーダーメイドのレザークラフトをメインに、貴金属細工なども行っています。
製品とは別に制作しているという作品は、ジャパンレザーアワードを4年連続受賞。型にはまらない独創的なアイデアと確かな技術が認められています。
フルオーダーの皮革製品はカスタマイズでき、唯一無二のオリジナル製品になります。ある程度決まったセミオーダーも可能です。
オーダーメイドで作るので、工房に既製品は置いてありませんが、今回、これまで手がけたいくつかの皮革工芸品を見せて頂きました。
赤サンゴをイメージしたこちらの革茶碗は、牛革の床革(厚い革を漉き切った残りの部分) と製造過程で出た端材を有効利用。ごみを出さない工夫とアイデアが詰まっています。
また、カップやビアジョッキ、おちょこも!
これらが革でできているのも驚きですが、陶器のように割れず、革特有の臭いもしません。言われないと革製品とは思えず、器の常識が覆されます。
そして、もっと驚きなのは私物で使っているという国内唯一の鯨革を使ったお財布。こちらは捨てられるはずの鯨の表皮の一部を活用しており、鯨革はここ以外では製造していません。
鯨は大村市との縁も深く、商業捕鯨が再開されたことを機に、中山さんのプロジェクトにより復活した幻の革製品です!
生き物に感謝して、余すことなく革を使わせて頂き、良いものを永く使う。
お客様との顔を見ての細かい要望と末永いご縁を大切にされているため、対面でのご依頼のみお受けしているとのこと。
心と技を込めて作られたすべての製品は購入後、メンテナンスや修理も可能。
きっと ここで一生付き合える極上の皮革製品に出会うことができますよ。
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②長崎産の珈琲がここに!日本初の観光珈琲園・スコーコーヒーパーク
1968年創業、当初は現在の大村駅前のアーケード近くにあった喫茶店カリブというお店がはじまりだったという長崎スコーコーヒーパーク。
社長の中島さんは3歳からコーヒーを飲み、ブラジルに移住まで考えたという大のコーヒー好き。コーヒー伝来の地・長崎に人を呼びたいという思いからこの場所で観光農園を始め、カフェ/レストランを作り、今のお店がある寿古町(すこまち)から名前を取り、スコーコーヒーパークが誕生しました。それから40年以上もこの地でコーヒーパークを運営されています。
こちらでは入場無料でコーヒーの木などを栽培している温室の見学が可能です。そして、そこから収穫し製造されたコーヒーを、同じ敷地内のカフェ&レストランの「スコーズ」で味わうことができるという、生産風景から消費までを一貫して体験できる数少ない場所です。
コーヒーの白い花や真っ赤な実をつけたコーヒーの木を見る機会は日本でなかなかありません!コーヒーの花の開花時期は3月頃から9月頃で、3日ほどで咲いては散ってを繰り返します。
真っ赤なコーヒーの実は3月~6月頃、手摘みで週に1-2回ほど収穫されます。開花も6月頃がピークだということで、その頃だとお花も実も見られるチャンスが多そうですね!
日本にあるコーヒーはほとんどが輸入物ですが、こちらでは100%長崎産(寿古産)の希少なコーヒー「寿古珈琲」を飲むことができます。
カフェで頂いた珈琲のカップは長崎県を代表する陶磁器の波佐見焼で作られた特注品。コーヒー伝来の地・長崎にちなんだデザインでコーヒーの花や実、ゆかりの深いシーボルトや最初にコーヒーを飲んだと言われる丸山の遊女などがカップに描かれています。
カフェでは喫茶だけでなく、食事もでき、コーヒーピラフやパパイヤ丼などここだけのオリジナルメニューも。入口付近には物販もあり、こちらでお土産を買うこともできますよ。
農園と併せて、カフェでの食事や喫茶も楽しんでみてくださいね。
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③閑静な森の中にあるドライフラワーのお店・frostcraft(フロストクラフト)
森の中に佇むフロストクラフト。
こちらではフリーズドライ製法でレアなドライフラワーを制作・販売しています。
お店へは地図アプリの経路だと険しく細い山道に誘導される恐れがあるため、佐奈川内川方面から上がっていく広い道がおすすめです。(お店のInstagramにある経路マップを参照してください)
ところどころお手製の木製案内板があるのでそれを目印に進んでくださいね。
店内ではウエディングブーケやオーダースワッグを制作していて、かわいい手作りの木工製品や木製のフラワーベースも。
オーナーの株元さんは大学で植物についての研究をし、自動車部品メーカーでの開発職などを経て、前職のコーティング会社に勤務するかたわらドライフラワー作りを趣味で始められたそう。
その後、会社から譲ってもらった部品をご自身で組み立て直し、フリーズドライの機械を作ったのをきっかけにお店をオープン。ドライフラワーだけでなく、木工品(まな板、一輪挿し、キャンドルホルダーなど)もご自身で制作して販売しています。
店内にあるジブリ感漂うドライフラワーの貯蔵庫にはたくさんのお花が。こちらでは100-200種類のお花を扱い、これほどドライフラワーを量産しているところは珍しいのではないでしょうか。
お客さんは県内各地から来られ、遠方の方はオンラインなどで注文を受け発送もされています。
単品からの購入も可能で、予算や要望を伝えるとスワッグやブーケなどもその場で作ってもらえます!
スワッグ&ブーケ作りのワークショップは予約してもらえれば対応できるそうなので、お友達や家族でワークショップ体験も楽しそうですね。
森の中にあるお店で花や木といった自然素材に丁寧に人の手を加え、オシャレに生まれ変わったドライフラワーやフラワーベースは自分へのご褒美や友人・知人へのお祝いにどうぞ。
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④夫婦が織りなす天然染料染物店 ・ISTIST(いすといすと)
長崎県と佐賀県を結ぶ国道444号線沿いから近く、山々に囲まれた場所にあるISTIST。
こちらでは、もともとTシャツを作っていたご主人が始めた草木染めとアパレルで服を作っていた奥さまとの出会いから生まれた草木染のオリジナル衣服などを販売しています。
草木染めは天然素材でないと上手く染まらないという特徴から、おのずとコットンやリネン、ガーゼなどの肌にも優しい自然由来の製品が古民家を改装した店内に並んでいます。
初めは別の場所で下請けとして工房をやっていたところ、徐々に個人のオーダーが入るようになったことでお店を始めることに。自然に囲まれた里山にある現在のお店では店内に木のぬくもりが感じられ、優しい柔らかい雰囲気があります。
広々とした店内に並べられた洋服たちはとっても肌触りが良く、着心地が良さそう。
お店の一角に縫製用のスペースがありますが、染めの工程はお店の横にある工房で行われます。
草木染めは3日以上繰り返し染色するとのこと。
草木染めは光や紫外線に弱いので、乾かす時は日に当たらないようにするそう。草木染めの服が並ぶ店内にも日光が入らないような工夫がほどこされています。
お客さんは佐賀や福岡から来る方が多く、リピーターも多いそうです。
染め体験も人気で、毎週土曜日の予約制で行われています。家族連れや東京などからも体験を求めてやってくる方もいるのだとか。
一つ一つ丁寧に手染めし、手作業での縫製というご夫婦二人の手で仕上げた味わい深い天然染料の染物。
ぜひお店に行って、その温かみを感じてみてくださいね。
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⑤教室に通いたくなる!生徒が集まるステンドグラス工房 Walk On(ウォークオン)
長崎空港や新大村駅からもほど近い国道34号線沿いにあるステンドグラス工房・ウォークオン。
ステンドグラスと言えば長崎と言われるほど、キリスト教とも関係が深い長崎県内には多くの教会でステンドグラスが使われています。
和歌山県出身のオーナーの山裾さんは、以前長崎に住んでいたこともあって、ステンドグラスを学ぶために関西から長崎に舞いもどり、ガラス工房「瑠璃庵」にて竹田克人氏に師事。その後、約30年前に独立してこちらに工房を開きました。
無数にあるガラスから選んだものを、カットして周りに銅のテープを巻き、ハンダ付けをするという、手作りのステンドグラスを制作。ご要望に応じた受注制作もしています。
工房では月曜日と木曜日の月6回、生徒さんが通われるステンドグラスの教室も。
この日は教室のある日でステンドグラスを制作する生徒さんがいらっしゃいました。
教室は自分の手でステンドグラス作りができるようになるだけでなく、和気あいあいと楽しそうな雰囲気でした。
生徒さんの中には15年〜25年通っている方がいたり、地域の方以外にも、佐世保、諫早など県内各地から、離島の壱岐や福岡から通う方もいるのだとか。
パネルやランプなど色とりどりの素敵なステンドグラスの作品が置かれている中、目を奪われたのは長崎らしい尾曲がり猫のステンドグラスの置物。
こちらは奥様の作品だそうですが、かわいらしい長崎の旅の思い出にもなり、こちらも販売されているそうですよ。
工房にはたくさんの作品が置いてあり、空港が近いため、飛行機に乗る前にステンドグラスをお土産に買って帰るお客さんもいるのだとか。
ステンドグラスにご興味のある方は、ぜひ工房を訪れてみてくださいね。
※工房は基本的におひとりでやられていて閉まっていることもあるので、来店の際は事前に電話をすることをおすすめします。
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この記事を書いた人
Miyako
Webライター/トラベルクリエイター
長崎県大村市出身。海外渡航国数は36ヶ国。海外・東京での生活を経て、現在は長崎を拠点にノマド生活をしながら旅と地域の魅力を発信中。農のある暮らし、サステナブルなライフスタイルデザインも研究・実践している。(2024年現在)
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