まちは今も昔も華やいで。長崎新地中華街と丸山花街
2022/6/20 公開
思案橋・丸山
国際性に富んだ長崎らしく、街には横浜、神戸と並ぶ日本三大中華街のひとつが。新地や唐人屋敷で中国風情はさまざまに見つかります。また場所が変われば日本三大花街の一角をなした丸山も。江戸の吉原、京都の島原と並び栄えたこの界隈で往時のみやびやかな風情にちょっと触れてみましょう。
さまざまに栄えてきた街ならではの多面性もまた、長崎の魅力です。
長崎新地中華街
角煮まんや月餅といった天心から縁起物などの中国雑貨・衣類まで、30店舗ほどのお店が立ち並ぶ「新地」。華やぐこの界隈はかつて、中国船で運ばれた荷物をさばくために埋め立てて造成された倉庫区域でした。
鎖国当時でも中国との交易が唯一認められていた街・長崎ならではの日本最古の中華街はぜひともめぐっておかないとソン。東西南北に立つ中華門をくぐった先に、いろんなお楽しみが待っています。
湊公園
幻想的なランタン装飾、それに龍踊りや二胡の演奏なども行われるランタンフェスティバル時の光景
中華街の南門のすぐ向かいには、中国風庭園や休憩スペースも備えた湊(みなと)公園。特に2月に開催される街の冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」が見ものです。メイン会場として大いに賑わうその様子は年でいちばんのハイライトと言えます。
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唐人屋敷象徴門
新地における中華街の成り立ちからも想像されるとおり、江戸時代の長崎のまちには中国からやってきた商人たちも大勢暮らしていました。そして彼らが住まう居留地となっていたのが「唐人屋敷」です。オランダ商人にとっての出島にあたります。
距離を置いて設けられたこのふたつの門は、屋敷が点在するエリアがここから先にあるのを示すためにと、現代になってから設けられたもの。
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唐人屋敷御堂
落ち着いた民家や市場がある唐人屋敷エリアに残されている建物はというと、土神堂、天后堂、福建会館、観音堂という4つの御堂。修復改築を経てその優美な中国風情を今に伝えています。
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蔵の資料館
唐人屋敷での暮らし、また当時の中国との貿易についてわかりやすく解説した資料展示スペースが、明治にさかのぼるレトロな蔵の中に設けられています。立ち寄れば、いにしえの異国を想うイマジネーションもますます豊かに。
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御崎道
「みさき」とはなにやら唐突ですが、江戸時代に長崎半島の突端、脇岬の「みさき観音」に詣でる上でここが唯一の参道だったという道です。全体を通じて28キロにもわたる長い長い道のりなのでした。
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唐人番所・遠見番所
唐人屋敷、および港への船の出入りを監視する「番所」がこのあたりにありました。目を光らせる番所役人は人数にして十人、ということから現在ある十人町という町名につながっています。
さて、新地から唐人屋敷跡にまたがり中国風情に触れるツアーはこのスポットまで。
次は1キロほど場所を変えて丸山の花街へと向かいます。
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丸山公園
日本三大花街の一角をなした「丸山」は丸山町と寄合町から成っているのですが、花街のおよそ中央に位置するのが丸山公園。経年変化もなくまだまだ新しい坂本龍馬像が目立つので、待ち合わせなどにも良いでしょう。
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長崎検番
楽器を奏するなどの芸妓衆の出勤などの管理にあたる事務所です。窓辺の赤い提灯に書かれているのは所属の女性の名。三味線をお稽古する音なんかもときどき聞こえてきたりして。
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梅園身代り天満宮
こちらは丸山町の氏神さま。昔から遊女や芸妓衆からの信仰のあつい、また今なおお守りを求める市民ほか来訪者が数多い神社です。節分から3月上旬にかけては、さまざまな梅が咲き誇ります。
「撫で牛」、それにあんぐり開いた口の中にあめを入れると歯の痛みがとれるという「歯痛狛犬」もお見逃しなく。
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中の茶屋
風雅な佇まいの茶屋、そして江戸時代中期にさかのぼる庭園も(無料公開)。元は遊女屋である筑後屋が茶屋を設けていました。施設内は長崎を代表する漫画家・清水崑氏の原画などその足跡がたどれる展示空間になっています。
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高島秋帆旧宅
長崎生まれの砲術の大家・高島秋帆の邸宅跡です。家屋そのものは原爆で破壊され現存していないものの、敷地内には砲術の実験場もあって大砲の標的としていた石が残っています。
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大徳寺公園
長崎七不思議のひとつとして知られる、大きい公園。いわく「寺もないのに大徳寺」と。梅香崎天満宮と楠稲荷神社がある一方、お寺が見当たらないのですが、実は大徳寺自体は明治元年(1868)に廃寺となってしまっているのです。
園内にある梅ヶ枝(うめがえ)焼餅の売店からは香ばしい匂いも漂い、これが大いなる誘惑。樹齢およそ800年の大きなクスノキ(大徳寺の大クス)を眺めながらほおばるのも一興です。
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小島養生所跡資料館
国内初の西洋式近代病院「小島養生所」の遺構があった場所に、2020年になって新たに設けられた資料館で、小学校の体育館に併設されています。
オランダ人医師・ポンペが文久元年(1861)に開院したのち、医学を学ぶ施設も兼ねるようになったココは今ある長崎大学医学部のルーツにあたります。
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思案橋
長崎きっての歓楽街で、文字面からしていかにも意味ありげな思案橋。実際、江戸の昔の男性諸氏が「橋を渡った先に控える丸山へと足を延ばそか、辞めよか」思案したというのがその語源です。
ラーメンほか見逃せないグルメどころも多数で、食べよか辞めよか、現代人もまた迷わされること必至(笑)。
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どんの山
中華街からも花街からもだいぶ距離が離れてしまいますが、へんてこなネーミングが気になる方向けにこちらもご紹介しておきましょう。
東山手の丘の、緩やかな坂道を登った先の頂上にあるのが「どんの山公園」。明治36年(1903)から昭和16年(1941)までの間、この地に設置した大砲をドーンと撃って市民に正午を知らせていたという都市伝説的のようなほんとのエピソードに由来しているのです。
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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STLOCAL編集部
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