駅から港へかけて、長崎ベイエリアさんぽ
2022/6/6 公開
出島・ベイサイド
長崎駅を降り立ち、まちの歩みとそれぞれに深い関わりのあるお寺やキリスト教ゆかりのスポットへ。鎖国当時、ヨーロッパとの交易が唯一行われていた出島にも立ち寄ったのち、複合施設「出島ワーフ」や水辺の森公園など潮風の気持ち良い一帯を歩けば充実のお散歩時間となるでしょう。
日本二十六聖人殉教地
長崎駅から徒歩5分の西坂公園ですが、ここは殉教者追悼の地。豊臣秀吉により禁教令が敷かれた中、キリスト教への信仰を貫いて処刑された神父・信者計26名の姿が刻まれた碑が目印で、この後方にある記念館ではキリシタン関連の資料や美術品が展示されています。
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本蓮寺
元和6年(1620)にできたお寺ですが、実はここにはかつてサン・ラザロ病院とサン・ジョアン・バプチスタ教会が存在していた過去があります。禁教令のためキリスト教関連の施設が破却されたあとで仏教のお寺が建てられるというこの順序自体が、南蛮文化の到来地・長崎らしいですよね。
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福済寺
亀の上に乗った観音さまがシンボリックなこちら福済寺(ふくさいじ)。原爆により失われて今でこそ目にすることはできないものの、かつてここには素晴らしい大雄宝殿があって、国宝にも指定されるほど貴重なものでした。
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聖福寺
修復工事以前の境内
さらに進んでこちら聖福寺(しょうふくじ)へ。黄檗宗の由緒あるお寺で外観からうかがえる通り、中国の香りも漂います。瓦塀の色味は趣深く、かと思えば桃の絵や桃の彫りものが本殿の随所にみられこれがなかなかプリティなタッチだったりします。ほか境内には長崎出身で遠くジャカルタへと流された女性・じゃがたらお春の碑や市川団十郎の供養塔なども。
なお、国指定重要文化財である大雄宝殿はじめ境内にある4棟が2029年度まで修復工事中です。
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中町教会
スカッと気持ち良い白亜の中町教会。中へ入れば10枚の美しいステンドグラス、それからご存知フランシスコ・ザビエルゆかりの「ほほえみの十字架」が掲げられています。
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西勝寺
その昔には長崎奉行所の御用寺でもあったお寺です。イエズス会宣教師として来日するも、弾圧に耐えかねてキリスト教を捨てたクリストヴァン・フェレイラ(のちの沢野忠庵)が仏教徒への転向を誓った「キリシタンころび証」が堂内には残されています(ただし非公開)。
のち、かの遠藤周作はこの一件を題材に、歴史小説『沈黙』を手掛けたのでした。
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長崎歴史文化博物館
博物館と聞いてちょっと意外な門構え。実は江戸時代、ここには長崎奉行所立山役所があって、この階段も当時のものが発掘された由緒正しきモノ。これを生かしつつ当時のお役所が復元されたかたちになっています。
常設展示のテーマは「海外交流史」。長崎らしいです。
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サント・ドミンゴ教会跡資料館
桜町小学校の中にある展示施設で、400年ほども前の教会の井戸や石畳などが見学できます。学校の改築工事中、ここで花十字瓦が発掘されたという経緯から設けられました。
キリシタンでもあった長崎代官・村山等安が所有していたこの土地には慶長14年(1609)、サント・ドミンゴ教会が建っていた時期もあります。
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天満坂(大音寺坂、喧嘩坂)
駅から内陸に向かってお寺や教会などをみてきましたが、ここで出島方面へと方向転換。途中、立ち寄りたいのがこの石段坂道です。
かたや藩士、かたや町年寄のお仲間が泥はねを機にいさかいを起こし、のちに「長崎版忠臣蔵」とまで言われる討ち入り事件に発展したエピソードが残っています。
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出島
江戸時代に入り鎖国した日本がヨーロッパに対して唯一門戸を開いていたのがココ出島。オランダ商館長が普段から利用していた「カピタン部屋」や銅蔵ほか、近年の大掛かりな復元工事を経て、一帯は本格的に当時の雰囲気にひたれるようになりました。
敷地内にある「旧長崎内外クラブ」のレストランでランチにご当地トルコライスをいただくのも手。是非とも、あちこち見てまわりたいところです。
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大波止の鉄玉(鉄砲ん玉)
車が行き交う大通り沿いの歩道で、さりげなくも異彩を放ちながら鎮座している鉄製のまんまるい黒玉。なんと江戸時代前期から約350年にもわたって大事に置かれ続けているものの、由来に不明な点も多く長崎の七不思議に数えられています。
島原の乱を治めるためにつくられた説も存在するのだとか。ロマンです。
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長崎港ターミナル
さていよいよ海。港町長崎の、まさにこれが港です。伊王島、高島、五島といった島々への定期便だけでなく、あの軍艦島へ向かう船もあります。
海風に旅情を誘われながらのそぞろ歩きも、またたのし。
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出島ワーフ
飲食店やショップなどが集まった複合施設・出島ワーフ。ウッドデッキをそぞろ歩くもよし。2階「出島テラス」ほか飲食店でカフェやランチ、ディナーをいただくもよし。海沿いでの見晴らしよい憩いのひとときを、ここでひとついかがでしょうか。
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長崎水辺の森公園
出島ワーフから海に向かって左手に進めば、運河の流れるこの公園へ。運河を挟み右手には大地の広場、左手には水の庭園。広大な緑空間で深呼吸しましょう。そら豆やコーヒー豆の形をしたユニークなベンチもちらほら。
2004年にはグッドデザイン賞金賞を受賞。景観のよさは折り紙付きです。
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長崎県美術館
公園に続いて美的空間をもうひとつ。位置的にもすぐ近くのこの美術館は、世界に名だたる建築家・隈研吾氏による設計。常設展のスペイン美術コレクションはピカソやダリの作品を含む、東洋でも有数のレベルなので見逃せません。
ミュージアムショップやカフェのみの利用もできます。
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四番税関波止遺構
美術館と同じく、こちらもまた公園の敷地からすぐそば。明治時代の長崎税関四番波止の遺構が保存されています。
外国船の積荷がここで荷上げされ、事務手続きが済めば、ここから馬車に乗せられオランダ坂などを通り商館へと運ばれたのでした。
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人
STLOCAL編集部
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