豊穣の土地・長崎で育った食材を堪能できるガストロノミーの名店5選
2021/12/21 公開
浦上・平和公園
ハイドレンジャ
ハイドレンジャ(フレンチ)
自由な発想で生まれる長崎フレンチ
長崎駅前からほど近くの好立地に構える〈ホテルニュー長崎〉。シックなロビーを抜けると現れるのが、ホテル内のフレンチレストラン〈ハイドレンジャ〉だ。いただけるのは地元産の旬の食材を生かしたコース料理。枠にとらわれない自由なアイデアから生まれた一皿で構成されており、月替わりの内容で季節の多彩な味覚を愉しませてくれる。料理は、例えばソースに醤油、だしに鰹節を使用するなど、日本人に馴染み深い味わい。緑の美しい中庭が望める重厚感ある佇まいの店内が料理とあわさって優雅なひとときを演出してくれる。またドレスコードなどもなく、カジュアルに訪れることのできる気軽さを兼ね揃えているのも魅力だ。
コース料理のほか、コロナ禍の近年ではテイクアウトメニューもスタート。ホテルの味を自宅でそのままいただけるようになった。
肩ひじ張らず、まずは気軽な気持ちで、長崎の食材で仕立てたフレンチを愉しみに足を運んでみてほしい。
ある日のランチのオードブルの一皿。近海で水揚げされたカジキマグロのカルパッチョ。ランチは1人2,500円~。
スモークベーコンで包んだ牛ヒレなどを盛り合わせた一皿。ディナーは1人6,000円~。
ディナーの「長崎和牛のステーキコース」15,500円~のメインの一例
店内には中庭があり、街中に隠れたオアシスのような雰囲気。予約制の個室も完備。
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コルドーネ
コルドーネ(イタリアン)
長崎イタリアン黎明期に生まれた名店の意思を受け継ぐレストラン
長崎県のイタリアン黎明期を支え、2011年に惜しまれつつ閉店した名店〈オビナタ〉。その場所を受け継ぎ、新たに誕生したのがこちらの〈コルドーネ〉である。店内に設えてある、一枚板のカウンターやアンティーク調のテーブルは〈オビナタ〉からのもので、店内は令和となった今でも〈オビナタ〉時代の面影を感じさせる重厚感のある雰囲気が漂っている。そんな店内で一層目を引くのが、棚に所狭しと並ぶワイン。フランスやイタリアから仕入れた130以上もの種類が常備されており、ワイン単品で味わうのはもちろん、お店の料理とマッチする一本を選んで愉しむことが可能だ。
料理は長崎県産の食材で仕立てたイタリアンを用意。生産者の元に直接足を運び仕入れるなど、厳選した旬の食材を使っており、どの料理も素材の持ち味を活かした味付けになっている。ラインナップは特別なシーンにはコース料理、気軽に呑みに立ち寄りたい人にはアラカルトを用意。今もなお初心者から通まで幅広い層の舌を満足させてくれる名店である。
取材時の一皿「五島美豚肩ロースの香草ロースト」。コースは7,500円~。アラカルトは600円~
ワインはグラス1,000円~、ボトル6,000円~。豊富な知識とホスピタリティあるスタッフがもてなしてくれるので、ワイン初心者でも安心して訪れることができる。
長崎屈指の繁華街にひっそりと構える
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紅灯記
紅灯記(中国料理)
父から受け継いだ広東料理がルーツ。長崎食材で仕立てた中国料理
1976年創業の中国料理店。こちらの厨房に立つのは、「食は広州にあり」といわれる広東省をルーツにもつ父から料理を学んだという二代目の譚(たん)さん。お店の味のルーツとなる父の教えの中で特に大切にしているのが、新鮮な食材のみずみずしさが残る火の通し方といったような「食材を活かした食材ありきの料理法」だそう。例えば取材時の、茂木で水揚げされた鱧を使った一皿は、白身魚の新鮮で淡泊な味を、ナンプラーの熟成した味で均整のとれた味わいに仕立てており、季節の味覚を盛り込みつつ、その持ち味をいかした一皿に。
夜はこのように地元食材で仕立てた逸品で構成されたコースを提供。加えて紹興酒を筆頭に、日本酒やワインなど譚さんが厳選した中国料理と好相性なお酒も用意。また昼には創業当時からの看板メニュー「ねぎそば」などリーズナブルなお値段のランチを展開。落ち着いた店内でゆっくりと譚さんの料理を愉しむことができる。
先代に学んだ広東料理をベースとした料理で、長年のリピーターを中心にお客の信頼を獲得している間違いない店だ。
夜のコースの一例の2皿。長崎和牛の炒め物と長崎産の鱧の蒸し物。コースは4,400円~※予約推奨
2階は落ち着いた雰囲気で、テーブル席のほか個室も完備。
静かでゆっくりとした時間を過ごすことができる
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浜口亜紗 嘉門
浜口亜紗 嘉門(はまぐちあさ かもん)(居酒屋)
地元民が厚い信頼を寄せる〈亜紗〉グループの浜口店で五島食材の料理を堪能
長崎県民から「魚を食べるなら亜紗に行けば間違ない」と言わしめる居酒屋グループが〈亜紗(あさ)〉。〈浜口亜紗 嘉門〉は、浦上駅と長崎大学病院に挟まれた飲食店激戦区、浜口に構える〈亜紗〉のお店のひとつだ。こちらの特徴は〈亜紗〉のレギュラーメニューに加えて、五島の食材を使った料理やお酒を愉しめるということ。というのも実は店主・小田さんが五島出身で、「自分が生まれた土地の食材のおいしさをもっと多くの人に伝えたい」と独自にメニューを考案し展開しているのだ。そんな想いから生まれた五島メニューだが、なかでも自慢なのが「長崎、五島プレミアムコース」。食材はもちろん刺身に使われる調味料まで五島産という、まさに五島尽くしのフルコースなのである。
もうひとつ特筆したい五島メニューが「鮪重」。鮪の赤身、中トロ、炙り、たたきの4種を盛り合わせ、醤油には謹製の土佐醤油と海苔醤油を用意。それぞれの味をお好みの醤油で自由に味わうことができる逸品だ。鮪はどれも塩で洗うことで旨みを引き出しており、生の良さを活かすために45度以下のご飯を使用。さらに最適なタイミングで食べてほしいと、出来上がりから1分以内でスピーディーにサーブしている。
「食材のポテンシャルを引き出す手間は惜しみません。故郷の食材の魅力を感じてもらえたら」と小田さん。季節の五島食材を愉しみに、何度でも通ってほしい。
取材時のフルコースの一品「白身魚と赤身、水イカ糸造り」
こちらは「地魚のちり蒸し」。長崎特有の柑橘系の果物「ゆうこう」で仕立てたオリジナルのポン酢で味わえる
「五島の地鶏しろさざなみの蒸し鶏サラダ仕立て」。こちらは椿油のドレッシングを用意。
〆には細い麺が特徴の「五島うどん」が登場。
コースはお1人5,000円。内容は10品の構成で、季節によって変更する。前日までの予約を推奨。
※写真は全てコースの一例。
「鮪重(1人前)」1,980円。小鉢・茶碗蒸し・味噌汁付き。
五島で醸造されたワインも用意。
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酒菜処のさ庵
酒菜処 のさ庵(シュサイドコロ ノサアン)(和食)
長崎で水揚げされた海の幸と銘酒との美食体験を。
島原出身の創業者が、島原地方の方言で「たまらない!!(しんどい)」を「のさん」ということから「しんどい時に立ち寄りたくなるような料理店」という意味を込めて名づけた〈酒菜処 のさ庵〉。地元で水揚げされた天然物の魚を中心に、長崎県で育った季節の食材で仕立てる料理と銘酒でもてなしてくれる名店だ。
豊富なメニューのラインナップの中から取材時に登場したのは、長崎らしい魚を使った鯨料理と鱧料理。
鯨料理はしっとりした食感で塩気の効いたベーコン、コリコリとした食感の胃袋、上品な脂身のサエズリ(舌)を一皿に盛り合わせた逸品。鯨のいろんな部位をポン酢でさっぱりといただくことができる。鯨料理は他に店の看板メニューでもある「鯨のはりはり鍋」3,000円(※予約制)もオススメとのこと。
もう一方の鱧料理は、茂木で水揚げされた天然物の鱧を使い仕立てた2皿。鱧料理は京都の料理のイメージが強いが、実は長崎で獲れた鱧が京都では多く使われており、〈のさ庵〉では長崎らしい料理として並べている。一皿は熟練の職人が骨切りして白い花のように開かせた身が美しい湯引き。もう一皿は鱧の骨でとった出汁を使ったタレで焼き、山椒でアクセントを加えた山椒焼き。どちらも日本酒や焼酎などお酒と愉しみたくなる夏の季節料理だ。
店内にはカウンター席のほか、予約制の完全個室なども完備し、さまざまなニーズに対応。静謐な和の空間でゆったりと熟練の職人が仕立てる料理をいただくことができる。
鯨の「三種盛り合わせ」3,300円
「鱧の湯引き」1,320円~
「鱧の山椒焼き」1,320円~
1階のカウンター席。掘りごたつの半個室もあり。2階には個室を用意。
※情報は取材当時のものです。詳細は公式サイトなどでも事前確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人
ながさきプレス編集部
長崎のタウン情報誌
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